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熊本地震復興へ 西部ガス熊本支社 ガスマンの自負胸に

ガスの開栓作業のために西部ガス熊本支社に集まった作業員ら=2016年4月30日撮影、西部ガス提供
シスケンの駐車場の地面に張られた張り紙=西部ガス提供

 前震のあった4月14日、西部ガス熊本支社(熊本市)では、就任直後の金井昌道支社長(58)の歓迎会があった。会を終え、金井支社長が翌日の仕事に向け、博多行きの新幹線に乗り込もうとした時だった。JR熊本駅の構内が大きく揺れた。

     金井支社長はすぐ支社へ。ガス供給の復旧作業に、集まった支社員ら約550人と共に徹夜で取り組んだ。幸いにも被害は軽微で、15日午後11時には供給を停止した1123戸を完全復旧。だがほっとしたのはつかの間だった。

     16日未明、金井支社長が支社の保健室でうとうとしていた時、本震が発生した。床が縦横に激しく揺れ、「バチバチバキーンと電線が切れる音がした」。真っ暗になり、手探りで駐車場に。「非常灯を」。社員に指示を出した。

     本社(福岡市)からは熊本地区のほぼ全戸に当たる10万884戸のガス供給を止めたと連絡があった。同社の災害による供給停止の過去最多は、1982年の長崎大水害での約4万3000戸。これを倍以上上回った。供給を止めても、導管に残ったガスが亀裂から漏れ出す危険性がある。出社してきた社員で次々に班を編成し、各世帯のガス栓の閉鎖作業に出動させた。

     感動したこともあった。その日のうちに全国22のガス事業者から技術屋のプロたちが救援隊として駆けつけてくれた。「阪神(大震災)ではお世話になりましたから」と話す大阪ガスの作業員もいた。

     しかし、救援隊の収容場所に困り、応対役の原田浩総務部長(53)が、隣接する通信設備工事会社「SYSKEN(シスケン)」本社に間借りを頼むと、「困った時はお互い様ですよ」。会議室と駐車場をすぐに提供してくれた。家電量販店「エディオン」、釣り具販売店「ポイント」、「TOTO熊本ショールーム」も駐車場や部屋を貸してくれ、一時は4600人に増えた作業員らの拠点を集中させられた。

     本震から数日後、金井支社長が「きついな」と話しながら原田部長と近所を歩いていた時だ。作業車両をとめていたシスケンの駐車場の地面に張り紙が見えた。「西部ガス様 復旧作業、本当にお疲れさまです」。シスケン社員たちの心遣いだった。2人は感謝で目が潤んだ。現場では「帰って休め」と上司が言うと、「応援をもらっているのに休めない」と返す社員も。金井支社長は「ガスマンとしての自負を感じた」。

     導管修理が終わり、全世帯で開栓の準備が整ったのは、想定より約1週間早い4月30日。5月3日に救援隊が撤収し、20日に金井支社長は社内放送で「非常体制を解除する」と告げた。5週間ぶりにスーツに袖を通し「思ったより早かった」。肩の力が抜けた。

     熊本市消防局によると、前震と本震による火災は8件でガス漏れによる火災はゼロ。耐震性の高いポリエチレン製導管を87%まで普及させたことが奏功した。ただ、金井支社長は語る。「場所を提供してくれた企業や応援に来てくれた全国のガスマンのおかげ。最後は、人のつながりだと実感しました」【尾垣和幸】


    西部ガス

     1930年、東邦ガスの福岡、熊本、長崎、佐世保(長崎県)支店の事業を継承して設立。福岡、北九州、熊本、長崎、佐世保、島原(長崎県)エリアの約110万戸にガスを供給する。都市ガス普及率は69%で、大手都市ガス4社に数えられる。熊本地震では熊本エリアの大半のガス供給が停止した。今年4月、家庭向け電力小売りに参入。従業員数は約1360人。


    熊本地震でのガス供給復旧までの経過表

    4月14日午後 9時26分 前震発生

          〃 9時37分 熊本地区1123戸の供給停止

      15日午後11時ごろ  1123戸への供給復旧

      16日午前 1時25分 本震発生

          〃 1時50分 熊本地区10万884戸の供給停止

                  総合災害対策本部設置

           〃3時10分 日本ガス協会に救援要請

      19日         10万884戸の閉栓作業完了

      30日         10万884戸への供給準備が完了

    5月 3日         日本ガス協会の救援終了、対策本部解散

      11日         総合非常体制解除

      20日         非常体制を解除

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