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余録

幕末に日露和親条約を締結した…

 幕末に日露和親条約を締結したロシアの提督プチャーチンは明治になって日本の勲一等(くんいっとう)旭(きょく)日大綬(じつだいじゅ)章(しょう)を受けた。ペリーはじめ他国使節には例がなく、その帰国後も日本の留学生の世話をするなど日露友好に尽力した功績をたたえたのである▲有名なのは条約交渉中の下田で安政東海地震の津波に見舞われたことである。乗艦ディアナ号も大破したが、プチャーチンは日本人の救助を命じ、被災した町に軍医らの派遣を申し出て幕府の役人を感激させた。ところが後日、今度はディアナ号が回航中に沈没する▲命からがら陸に上がった乗組員に近隣の村民が総出で炊き出しを行い、宿泊所をこしらえた。「善良な博愛精神に満ちた民衆よ! 500人ものロシア人を救ったのはまさにあなた方の功績だ」と記したのは同行していた司祭である(白石仁章(しらいしまさあき)著「プチャーチン」)▲結局プチャーチンは戸田(へだ)村で建造された日本初の洋式帆船ヘダ号で帰国するが、この間に締結した条約で日露の国境は択捉(えとろふ)島とウルップ島の間と定められた。これは露政府の訓令にも沿ったもので、災害のなかでの助け合いと友情から生まれた日露の国境画定だった▲名前が似ているのは偶然だが、こちらも平和条約締結にむけて日露新時代を開くのかと注目されるプーチン大統領の来日である。ただ領土問題では日本側の期待へのけん制発言もあり、会談を重ねてきた安倍晋三(あべしんぞう)首相との友情が歴史に記されるかどうかは分からない▲そのプーチン氏は近代の日露関係のなれそめをご存じかどうか。両国民の友情の歴史的記憶のうえに築き直したい今後長きにわたる隣国同士の友好である。

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