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社説

同一労働・賃金 大きな改革への一歩に

 安倍政権が掲げる「働き方改革」の本丸である同一労働同一賃金に関するガイドライン(指針)案が示された。非正規社員の待遇を抜本的に改善する内容が盛り込まれている。

     賃金は労使の話し合いで決めるべきもので、政府の関与は間接的かつ限定的にならざるを得ないが、政府と労使は指針案の趣旨が実現するよう協力して取り組むべきだ。

     指針案は、(1)基本給(2)賞与・各種手当(3)福利厚生(4)教育訓練・安全管理--に関してどのような待遇差のつけ方が不合理で問題があるのかを示した。

     基本給については、非正規社員の経験・能力が正社員と同じなら同一の支給をすべきであり、違うのであれば違いに応じた支給の根拠を明確にすることを求めた。

     正社員の賃金が高いのは一般的に残業や出張、配置転換を断ることができず、会社内での責任や将来の役割に対する期待度が高いためとされている。しかし、指針案ではそうした「主観的・抽象的説明」では足りないとされた。職務内容や配置転換の範囲について客観的かつ具体的な実態に照らし、正社員と非正規との賃金格差の妥当性が判断されなければならないというのである。

     多くの仕事を経験してきたとの理由で正社員が高い賃金を得ている場合も、これまでの経験と現在の業務に関連性がなければ「不合理」とされた。正社員として勤続年数が長いというだけで非正規と格差を付ける理由にはできなくなるのだ。

     現在の業務における能力や専門性が賃金に反映されるようになれば、仕事内容や勤務場所・時間を明確にした雇用契約が重視されるようになり、正社員の働き方は変わるかもしれない。正社員の長時間労働が少子化対策の足かせになっていることを考えると、この改革は社会全体に大きな影響をもたらす可能性がある。

     一方で、指針案の解釈や運用の仕方によっては正社員の賃金を引き下げる理由にされるリスクもある。制度改革が正社員に不当なしわ寄せとならないための措置も必要だ。

     賞与については、貢献度が同じであれば非正規社員にも支払わなければならないとされた。非正規社員を多数雇用しながら賞与を払わない企業は抜本的な経営の見直しを迫られることになるだろう。企業には厳しい改革だが、雇用労働者全体の4割にも迫る非正規社員の待遇を改善しなければ、経済の活性化も社会保障の安定もおぼつかない。

     政府は指針案に実効性をもたせるため、関連法の改正に取り掛かる。同一労働同一賃金は「働き方改革」の重要な第一歩と認識し、実現に向けて全力を挙げるべきだ。

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