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保護司

10年で半減へ 高齢化で定年、人材確保見通せず

保護司の年齢構成

 仮出所者や保護観察中の少年らの立ち直りを支援する保護司の約3割が、今後7年以内に定年で退任することが法務省への取材で分かった。さらに団塊の世代の定年などで10年以内に約半数が辞めるとみられ、保護司制度自体の存続が危ぶまれている。法務省は新たな担い手育成に取り組むが、いずれも決め手を欠いて人材確保の見通しは立っていない。【木村敦彦】

 法務省によると、全国の保護司は2016年1月1日現在で計4万7939人で、定員5万2500人を割り込んでいる。全体の8割が60歳以上で平均年齢は64・9歳。いったん就任すると任期の2年ごとに再任が繰り返されるのが通例だ。

 しかし、04年からは高齢化対策として76歳以上を再任しない定年制度が始まった。仮に75歳で再任されても78歳以上は続けられないため、16年1月1日現在で70歳以上の約1万4000人は24年までに定年を迎えることになる。67~69歳の団塊の世代が78歳となる27年までには、現在の保護司の半数に迫る約2万3000人が退任するとみられる。

 また、一定期間服役した受刑者に対し、刑の執行を猶予して保護観察を付ける「刑の一部執行猶予制度」が昨年6月に導入されたことで、保護司の需要は高まっている。それでも認知度不足や精神的ストレスの大きさ、時間的余裕と家族の理解不足などから人材確保は難航している。

 法務省は、若手育成のためにベテラン保護司が新任に付き添う「複数担当制」を推奨する他、保護司が自宅以外で仮出所者らと面会できる「更生保護サポートセンター」の設置を進める。今年度からは「保護司活動インターンシップ」として、地域住民が保護司と一緒に犯罪予防活動を体験したり、仮出所者との面接を模擬体験したりする試みも始めた。

 こうした国の取り組みについて、1998年から保護司を務める福岡市東区の藤野重久さん(69)は「本来、必要性が高い都市部ほど保護司が足りないのが実情だ。制度を維持していくには若手のリクルートを急ぐ必要がある」と危機感を募らせる。

 30年以上にわたって保護観察官として活動してきた日本福祉大の木村隆夫教授(司法福祉)は「国の人材確保策は不十分で、このままでは数年以内に保護司制度が立ちゆかなくなることもあり得る。有給の国家公務員の保護観察官を増やすか、現在は無償の保護司に何らかの対価を支払うことも検討しなくてはいけないのではないか」と指摘する。

 【ことば】保護司

 法相が委嘱する非常勤の国家公務員。仮出所者や保護観察中の少年らと定期的に面談し、助言や指導を繰り返しながら更生を促す。交通費や研修費などの実費支給を除いて無給のボランティア。定年退職者や主婦、宗教家らが務めることが多いが、高齢化や担い手不足が大きな課題となっている。

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