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メリル・ストリープさん

Gグローブ賞でのスピーチ全文

 米ゴールデン・グローブ賞の授賞式で8日、女優のメリル・ストリープさんが行ったスピーチの全文は以下の通り。

 ありがとう。皆さん、愛しています。許してください。週末に叫んだり大泣きしたりしてしまって声が出ないのです。それに年初から気が動転していて。なので書いたものを読みます。

 ハリウッド外国人映画記者協会の皆さん、ありがとう。ヒュー・ローリーが先ほど言った話に続けると、ここにいる皆さん、私たちはみんな、米国社会の中でも最もけなされているグループに属しているのです。考えてみてください。ハリウッド、外国人、そして記者です。

 ですが、私たちは何者でしょうか。ハリウッドとはそもそも何でしょうか。それは、いろいろな場所からやってきた人々の集まりなんです。

 私はニュージャージー州で生まれ育ち、公立学校で学びました。ビオラ・デイビスはサウスカロライナ州の小作農民の家に生まれ、ロードアイランド州のセントラルフォールズで成長しました。サラ・ポールソンはフロリダ州に生まれ、(ニューヨークの)ブルックリンでシングルマザーに育てられました。サラ・ジェシカ・パーカーはオハイオ州で7、8人のきょうだいの一人でした。

 エイミー・アダムスはイタリア・ベネト州のビチェンツァの生まれです。そして、ナタリー・ポートマンはエルサレム生まれです。彼らの出生証明書はどこにあるのでしょうか。

 美しいルース・ネッガはエチオピアのアディスアベバで生まれ、そう、アイルランドで育ちました。バージニア州の小さな町の女の子を演じて受賞候補になっています。

 ライアン・ゴズリングはカナダ人です。いい人たちばかりのね。デーブ・パテルはケニア生まれのロンドン育ちです。彼は今回、タスマニアで育ったインド人を演じました。

 つまりハリウッドはアウトサイダーや外国人だらけなんです。もし、その人たちを追い出してしまったら、見るものなんてアメリカンフットボールと総合格闘技ぐらいしかなくなります。けれども、それらは芸術ではありません。

 時間がないので続けます。役者の唯一の仕事とは、私たちと異なる人々の人生に入っていき、それがどんなものなのかを人々に感じてもらうことです。この1年間、それをやり遂げた力強い演技がたくさん、たくさん、本当にたくさんありました。まさに息をのむような、思いやりに満ちた仕事でした。

 けれども、ある演技には、あぜんとさせられました。それは私の心に釣り針のように引っかかりました。演技が良かったからではありません。ただ、何一つ良くはないのに、効果的でした。そして、狙った観客を笑わせ、歯をむき出しにさせました。

 それは、この国で最も尊敬される席に座りたがっている人が、障害を持つ記者の物まねをしたときのことです。特権、権力、反撃力において、はるかに自分が勝っている相手に対しての行為です。

 その光景に私の胸は打ち砕かれ、いまだに頭から離れません。なぜなら、映画の世界ではなく現実で起きてしまったことだからです。

 権力者が公の場で他者をばかにしようとする衝動に身をゆだねてしまえば、あらゆる人たちの生活に波及します。人々に同じことをしてもいいと、許可を与えることになるからです。

 侮蔑は侮蔑を招きます。暴力は暴力をあおります。権力者が立場を利用して他人をいじめれば、私たちはみな負けるのです。いいわ、やりたければどうぞ続けてみなさい。

 これは報道の話につながります。私たちには、報道する力を持ち、どんな横暴に対しても厳しく批判する信念を持った記者が必要です。だからこそ、建国者たちは報道の自由を憲法で定めたのです。

 お金持ちで有名なハリウッド外国人映画記者協会と私たち映画界の皆さんにこれだけはお願いします。私と一緒にジャーナリスト保護委員会を支援してください。ジャーナリストが前に進むことが私たちには必要だし、彼らも真実を守るために私たちの手助けを必要としているのです。

 もう一つ。セットの脇に立って愚痴をこぼしていたことがありました。わかるでしょ、夕食抜きで働いたり、長時間働いたりすることがあるんです。そのとき、(俳優の)トミー・リー・ジョーンズが言ったの。「メリル、役者でいられることだけですごい特権じゃない?」

 ええ、その通りです。私たちには共感を呼ぶ特権と責任があることを、改めて自覚し合わなければなりません。私たちはみな、ハリウッドが今夜ここで栄誉を与える仕事に誇りを持つべきです。

 私の友人で、親愛なる亡きレイア姫はこう言っていました。「打ち砕かれたハートを、アート(芸術)に作り替えましょう」

 ありがとう。【訳・隅俊之、岩佐淳士】

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