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社説

准高齢者 元気な人に活躍の場を

 「65歳以上」とされる高齢者の定義について、日本老年学会、日本老年医学会は「75歳以上」に引き上げるべきだという提言を発表した。65~74歳は新たに「准高齢者」として高齢者と区別するという。

     健康や経済状況の個人差が大きいのが高齢者だ。定義の変更を年金支給開始年齢引き上げなどの社会保障改革と直結させるべきではない。

     ただ、「准高齢者」は元気な人が多いのも現実だ。経験豊かで時間の余裕もある。これからの少子高齢化社会を活性化させる可能性を持った層であることを再認識し、彼らが活躍できる環境整備に努めるべきだ。

     65歳以上を高齢者とするのは世界保健機関(WHO)の定義で、これを基にさまざまな社会保障は設計されている。しかし、必ずしも医学的・生物学的に明確な根拠があるわけではない。実際、5~10年前に比べて現在の65歳以上の心身の機能は5~10歳は若返っているという研究報告もある。

     昨年9月現在の高齢者は3461万人(総人口の27・3%)で、「准高齢者」(65~74歳)が過半数を占めている。その多くが働き続けて社会を支える側に回れば、社会保障の持続可能性は格段に高まる。

     内閣府の調査では、就労希望年齢について「65歳くらいまで」「70歳くらいまで」がともに16・6%だが、「働けるうちはいつまでも」が28・9%だった。個々の健康や負担能力に応じた制度設計が必要だ。

     現行の年金制度でも希望すれば65歳を過ぎても働き続け、実際に年金を受給する時に、引き延ばした期間に応じて割り増した年金を受けることができる。一律に支給開始年齢を引き上げるよりも、個人の健康や経済状況に応じて自分で選べる制度があることをもっと国民に知ってもらい、多様なライフスタイルを実現することが必要だ。

     平均寿命の延びに最も適合していない制度の一つは医療である。現在は感染症やけがの治療を中心にした「急性期医療」が主流だ。臓器など身体の部位ごとに専門性が特化しており、病気やけがの完全な治療を目指す医療である。

     しかし、高齢者の増加に伴って、複数の持病を抱えながら社会生活を営めるようにするための「慢性期医療」の重要性が増している。

     医療体制が専門科に細分化されたままだと、患者は疾患ごとに検査や投薬をされ、結果として医療費がかさみ、多剤投与による副作用の症状が出ることにもなる。

     こうした問題を最も熟知しているのは今回の提言を発表した学会である。准高齢者の元気な生活を支えられる医療に変えなければならない。

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