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共謀罪

法案を通常国会提出へ 政府原案、与党内で修正も

 政府は、20日召集の通常国会で、組織犯罪の計画段階で処罰を可能とする「共謀罪」の成立要件を絞り込んだ「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法の改正案を提出する方針だ。2020年の東京五輪・パラリンピックを控え、テロや組織犯罪対策の国際連携を重視し、法整備を図る必要があるとしている。

 「共謀罪」を巡っては、捜査当局の拡大解釈による人権侵害を生む恐れがあるとして野党が反発し、過去3度、廃案になった。今回のテロ等準備罪についても、公明党を中心に慎重論が強く、提出前の与党内の協議で政府原案の修正などを迫られる可能性がある。

 政府関係者によると、テロ等準備罪は、適用対象を4年以上の懲役・禁錮の犯罪の実行を目的とする「組織的犯罪集団」と規定。テロ組織や暴力団、薬物密売組織、振り込め詐欺集団を想定している。

 また、同罪の成立には(1)団体の活動として具体的で現実的な計画がある(2)計画の実行に向けた凶器の購入資金を調達したり、犯行現場を下見したりといった準備行為--が要件になるとしている。

 テロ組織やマフィアなどによる国際的な組織犯罪に対応するため、国連総会は00年、各国共通の処罰法の整備を目的とした「国際組織犯罪防止条約」を採択し、03年に発効した。現在、187の国・地域が締結しているが、主要7カ国(G7)では日本だけが未締結。締結には「共謀罪」を含む国内法の整備が必要とされている。

 条約は「共謀罪」の対象犯罪を「長期4年以上の自由を剥奪する刑を科すことができる犯罪」などと規定しているため、日本では法定刑4年以上の懲役・禁錮の罪が対象だ。総数は殺人や詐欺などを含め676に上る。【鈴木一生】

対テロ重視、慎重論も 政府原案、対象の犯罪数変わらず

 政府が「テロ等準備罪」の新設を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案の提出を目指す背景には、東京五輪・パラリンピックを前にテロ対策が大きな課題になっていることがある。国際組織犯罪防止条約の締結国間でやり取りされるテロ関連情報を得るためには、締結に向けた国内法整備が必要とされる。ただ、「共謀罪」創設を含む同法改正案は、捜査当局の乱用への懸念などから何度も廃案となっており、与党内にも慎重論が少なくない。

 「共謀罪」は小泉政権時代の2003、04、05年の3回、関連法案が提出された。しかし、適用対象を単に「団体」としていたことから「一般の民間団体や労働組合が処罰対象となる恐れがある」「居酒屋で同僚と『上司を殴りたい』と話し合っただけで処罰されかねない」などの批判が上がった。また、対象となる犯罪が600以上の多岐にわたっている点も問題視された。

 政府関係者によると、今回のテロ等準備罪は、適用対象を暴力団など「組織的犯罪集団」に限定することを明文化。さらに「犯罪を行おうとする合意(共謀)」だけでなく、凶器購入など犯罪の実行に向けた具体的な準備行為の存在を要件に加える方向だ。法務省幹部は「適用に非常に高いハードルを設けた。恣意(しい)的運用は不可能だ」と語る。

 一方で、犯罪の実行行為がなくても処罰を可能とする点は過去の共謀罪と同じだ。日本の刑事法体系は「既遂」を罰するのが原則で、重大な犯罪については「未遂」や準備段階行為の「予備」「準備」も罰するという形をとる。この体系との整合性が今後の議論になりそうだ。

 また、原案の対象犯罪の数は過去の法案と大きく変わっていない。条約の規定に従ったためだが、既に公明党などから「多すぎる」との批判が上がっており、与党内で理解を得られるかが当面の焦点となる。政府はテロ対策という必要性を強調するだけでなく、過去の批判や懸念を払拭(ふっしょく)できるような真摯(しんし)な説明を求められる。【鈴木一生】

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