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男児放置死

殺人適用せず、父に懲役12年判決…東京高裁

1審破棄・遺棄致死罪

 神奈川県厚木市のアパートで当時5歳の長男を放置して虐待死させたとして、殺人罪などに問われた元トラック運転手、斎藤幸裕被告(38)の控訴審判決で、東京高裁は13日、懲役19年とした裁判員裁判の1審・横浜地裁判決を破棄し、懲役12年を言い渡した。秋葉康弘裁判長は「適切な対応をしなければ死亡する可能性が高いと認識していたとは言えない」と述べ、1審が認めた殺人罪を適用せず保護責任者遺棄致死罪に当たると判断した。

     事件は2014年5月にアパートで斎藤被告の長男、理玖(りく)君の白骨遺体が見つかり発覚した。司法解剖でも死因は明確にならず、死亡前の長男の衰弱状態について述べた複数の専門家の証言をどのように評価するかで1審と2審の結論が分かれた。

     1審は、小児法医学の専門医の証言を基に長男が死亡した07年1月の1カ月前ごろには、栄養不足から関節が曲がって固まる症状が始まっていたと認めた。その上で「遅くともこの段階で医師の適切な診療を受けていれば救命できた」として、診療を受けさせるなどしなかった被告に殺意があったと判断した。

     これに対して2審は、解剖医の証言も重視して「長男に関節が曲がる症状があったとは認定できない」と判断。長男が動けない状態だったと述べた被告の調書についても、取り調べで誘導した疑いもあったとして「信用性は高くない」と指摘し、「長男に適切な診療を受けさせるなどしなければ、死亡する可能性が高かったとも、そのことを被告が認識していたとも認定できない」と結論付けた。

     判決によると、斎藤被告は長男に適切な食事を与えず部屋に閉じ込めて放置し、07年1月に死亡させた。被告の弁護人は「実の子への殺意が否定され被告はほっとしていた。刑事訴訟法の原則に忠実な判決だ」と評価。東京高検の曽木徹也次席検事は「判決を精査・検討し適切に対処したい」とコメントした。【近松仁太郎】


    厚木男児放置死事件

     神奈川県厚木市のアパートで2014年5月30日、死後7年以上放置され白骨化した遺体が見つかった。遺体は斎藤幸裕被告の長男、理玖君と判明。07年1月中旬ごろ、当時5歳で死亡したとみられる。判決などによると、斎藤被告は妻が家出した04年秋から長男と2人で暮らすようになったが、その後、電気、ガス、水道が止まり、07年6月ごろにはアパートを出た。たびたびアパートを訪れたものの、長男が生活していた和室入り口に外側からガムテープを貼り付けるなどして出られない状態にし、死亡直前には週1回程度しか食事を与えなかった。

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