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沼野充義・評 『聖愚者ラヴル』=エヴゲーニー・ヴォドラスキン著

 (作品社・4536円)

中世ロシアから 現代世界への批判

 ロシアでなければ生み出せないような小説である。著者のヴォドラスキンはもともと中世ロシア文学の研究者で、ロシア科学アカデミー・ロシア文学研究所の研究員。しかし二〇一二年、四八歳のときにこの小説を出版して、ロシア国内で大きな賞を次々に受賞しただけでなく、一躍国際的にも注目され、いまや「ロシアのウンベルト・エーコ」などとの呼び声も高い。彼の作家としての出世作『聖愚者ラヴル』は、すでに二〇カ国語以上に翻訳されている。

 中世ロシアに関する著者の学識を生かした物語である。時代は一五世紀。ロシアのとある修道院の近くの寒村…

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