メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

 となり教室きょうしつにかけこむと、窓際まどぎわりかかってはなしているエリとミカがんできた。クラスえをして一週間しゅうかんもたたないのに、すでになつかしい。わたしはいきらしながらはなしかけた。

    「ねぇ、説明聞せつめいきいた?」

     六年生ねんせい移動教室いどうきょうしつが、一か月後げつごひかえている。

     うん、とエリがうなずいた。

    二人組作ふたりぐみつくるんでしょ。で、はんとか、バスのせきとか、いろいろめるんでしょ」

     ミカがよこう。

    「そう。あれ、三人にんになってもいいんだって」

     わたしが二人ふたりかおうと、

    「へー」

    「そうなんだ」

     二人ふたりとも反応はんのうが、にぶい。わかってないな。

    「いっしょにもう」

    「え。ハナエ、あたらしいクラスのみなよ」

     エリがわたしをる。

    「うちらは二人ふたりむよ。でもハナエ、あたらしいクラスのんだほうがよくない?」

     ミカも、かみゆびでくるくるきながら、う。

     なんで? いつもいっしょだったのに。

    「……わかった」

     ムッとしたひびきがもれているのが自分じぶんでもわかった。

    「だいじょうぶ?」

     エリがわたしをのぞきんだ。

    「がんばれっ」

     ミカがそうい、二人ふたりわらった。どうしてこの状況じょうきょうわらえるのだろう。こんなひとたちだったっけ。

     わたしはずんずんと大股おおまた廊下ろうかにむかう。教室きょうしつときくと、二人ふたりかおわせてなにやらたのしげにはなしている。

     なんでわたしだけ……。

     あのときなさけない気持きもちはいまでもおぼえています。もうともだちじゃない、とすらおもいました。でも、このあとも、タイミングがえばいっしょにかえったし、わたしたちはつかずはなれずのいいともだちでした。

     あのとき、エリがわらったのは「だいじょうぶだよ、ハナエ」という意味いみだったのかもしれません。彼女かのじょには、あたらしいクラスにともだちがいない不安ふあんなんて、きっと想像そうぞうできなかったのでしょう。

     ミカとは、いまでもともだちです。ノリのいいで、よくわたしに「どんくさいな、もう」とってケラケラわらいます。あのときわらいも、ふか意味いみなんてなかったのでしょう。

    +  +  +  +  +

     『12さいたちの伝説でんせつ』も小学しょうがく六年生ねんせいのクラスが舞台ぶたいです。いじめっこや優等生ゆうとうせい活発かっぱつ、いつもしずかななど、どんなでも、本人ほんにんおもいには、ギャップがあります。このほんではかたしょうごとにわり、ひとつの「事件じけん」でも、こんなにちがってえるんだ、とハッとさせられます。

     わたしも、エリとミカに、あのときどんな気持きもちだった?と、いてみたいもします。でも、二人ふたりが「なんのこと?」ときょとんとするかおほう想像そうぞうできて、なんとなくひとりでわらってしまうのです。


     エッセイストの華恵はなえさんが、ほんにまつわるおもきなほん紹介しょうかいします

    毎日新聞のアカウント

    話題の記事

    アクセスランキング

    毎時01分更新

    1. 石塚運昇さん 食道がんのため68歳で死去 「ポケモン」ナレーション 「ジョジョ」ジョセフなど
    2. アジア大会 ボランティアに破格の報酬 18日夜開会式
    3. ORICON NEWS 石塚運昇さん死去、「ポケモン」オーキド博士後任は未定 10月1週目放送まで収録済み
    4. ORICON NEWS 石塚運昇さん訃報「ポケモン」関係者から悲しみの声 業界の垣根を越えて
    5. 夏の高校野球 金足農サヨナラ2ランスクイズ 近江を降す

    編集部のオススメ記事

    のマークについて

    毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです