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余録

熊本地震の後、自宅が損壊した女性タレントが…

 熊本地震の後、自宅が損壊した女性タレントがブログで物資不足を訴えた。「普通に生活が出来るものがあれば」。これにインターネット上で「愚痴(ぐち)りたいのはお前だけじゃない」と中傷が相次ぐ。ショックを受けた女性タレントはしばらくブログの更新をやめた▲彼女には何の落ち度もない。なのにネットの住人たちが「正義」の名を借りて攻撃する。「不謹慎狩り」と呼ばれる。最近、こうした現象が多いのが気になる▲こちらはネットの外の出来事だが、同じにおいを感じる。神奈川県小田原市で生活保護担当の職員らが「HOGO NAMENNA(保護なめんな)」などとプリントしたそろいのジャンパーを作り、家庭への訪問の時に着用していた問題だ▲背中には「私たちは正義。不正を見つけたら追及する」「不正受給するような人はクズ」という意味の英文も記載されていた。もちろん不正受給は許されない。しかし生活保護受給者を支援する側の職員が市民を威圧するような姿は異様だ▲ネットには弱い立場の人を責める文言があふれる。「自業自得の人工透析患者なんて、全員実費負担にさせよ! 無理だと泣くならそのまま殺せ!」。昨秋、ブログにそう書いたフリーアナウンサーがいた。国家財政の負担を減らすべきだという「正義」。彼はレギュラー番組を降板させられたが、内容に賛同する声も少なくなかった▲「正義」の意味が変質し、留飲を下げるために使われては危うい。ネットのせいだけでなく、社会が不安定になったからかもしれない。かつてテレビの正義の味方は弱い者を守るため、一人、強い者に立ち向かった。

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