メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

文芸時評

1月 作品と現実の回路 ありふれたものでつなぐ=田中和生

 文学作品と現実の関係は、どうあるべきなのか。そんなことを考えたのは、実力ある中堅作家たちが、その関係に苦しみながら作品を書いていると感じられたからだ。たとえばそれは、金原ひとみの短めの長篇(ちょうへん)『クラウドガール』(朝日新聞出版)や羽田圭介の長篇「成功者K」(『文芸』)といった作品である。

 もちろん現実など関係ない、小説は小説のためだけに書かれる、という考え方もある。たしかにこの「小説らしさ」を前提とする文学観は、小説が社会に影響をおよぼす主要なメディアで、教養的にも熱心に読まれていた時代にはリアリティーがあった。しかし作家よりお笑い芸人の言葉で本が売れ、ネット上ではまんがやアニメーションが熱心に語られている現在、これは楽観的すぎる考え方だろう。

 だから意識的な書き手は、作品で「小説らしさ」を前提にせず現実との関係を作り出そうとする。まず金原作…

この記事は有料記事です。

残り1712文字(全文2093文字)

おすすめ記事

毎日新聞のアカウント

話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. ORICON NEWS 鈴木伸之、初始球式で122キロの快速球&腹筋チラリ メンディーの133キロは「あらためてスゴい」
  2. 2億円超記載漏れ「常軌を逸している」 維新との対決を評価する声も 堺市民の声
  3. 池袋暴走、ドラレコに音声 87歳男性「あー、どうしたんだろう」同乗の妻の問いに
  4. 白鵬の「三本締め」は何が問題なのか 横審の考え、相撲ファンの声
  5. 幼稚園バスなど5台絡む多重事故で2人死亡

編集部のオススメ記事

のマークについて

毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです