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イチからオシえて

石綿除去業者に免許制 英国の対策/上 中皮腫年間死者2500人に危機感

 アスベスト(石綿)による重篤ながん「中皮腫」の死者が増え続け、2015年に日本で初めて年間1500人を超えた。どうしたら食い止められるのか。対策が進む英国を調査した石綿問題総合対策研究会(事務局長・村山武彦東京工業大教授)に同行取材した。

     英国では1880年代に石綿産業が生まれ、早くから大量の石綿が使われた。現在、飛散した細かな石綿を吸い込むことによる中皮腫の死者は年間2500人を超える。日本も今後、英国と同様に増加していくと懸念されている。

     ●飛散防ぐ態勢調査

     英国が危機感を持ち、被害拡大防止のために導入したのが、日本にはない「石綿の除去業者のライセンス(免許)制度」だ。

     現在、日英とも石綿を新たに使用することは禁止されているが、建物の建材の中には石綿が大量に残っている。こうした建物の改築や解体で石綿を除去する際には、飛散防止のため、プラスチックのシートで密閉した上、除じん装置で空気を浄化して排気するなどの措置が必要だ。しかし、現実には、除去業者がコスト削減のため作業を省いたり、技術が未熟だったりして、石綿が飛散する事例が相次いでいる。

     英国では、政府・安全衛生庁の石綿ライセンス部(ALU)の審査を受けて免許を取得した業者でなければ除去工事ができない。

     業者から免許の申請があると、同庁の監督官2人が業者の本社を訪問し、丸一日かけて除去のやり方や能力を持つ技術者の有無などについて質問攻めにして資質を調べる。報告を受けたALUが資質ありと判断すれば、1年限定の最初の免許が発行される。その後は更新の審査を受ければ、原則3年間の免許が得られる仕組みだ。

     ●更新必要、拒絶も

     しかし、業者は免許を得ても安心はできない。

     英国中部にある教育施設に設けられた除去作業現場を訪れると、入り口の上部にモニターテレビがあり、内部の様子が映っていた。監督官がいつでも「抜き打ち監査」ができるように、現場にはのぞき窓かモニターテレビの設置が義務付けられている。手抜き工事や飛散事故が判明すれば、免許の剥奪や更新拒絶などの処分が待ち受ける。

     審査は厳しく15年度は、更新を含め240件が審査され、26件が拒絶された(条件付き15件、完全拒絶11件)。最近6年間では毎年15~36件の免許拒絶があった。女性監督官のD・ウォーカーさんは「当初、免許業者は780社だったが、現在は440社に淘汰(とうた)された。残るのはいい会社だけです」と説明した。【大島秀利】

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