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外務省官房長・山崎和之(56)

山崎和之氏

職業人生の基盤を築いた

 最初の課長補佐は1990年夏、のちに世界貿易機関(WTO)に発展する「関税と貿易に関する一般協定」を扱う経済局の課で務めました。そこで4年間、ウルグアイ・ラウンドと呼ばれる多国間貿易交渉を担当しました。

     最も印象に残っているのは、サービス貿易に関する新一般協定の交渉に2年間参加したことです。月に2週間ほど、ジュネーブなど欧米で行われる交渉に出張し、東京では10以上の省庁と次の交渉の準備をする生活を続けました。

     上司である課長級の交渉官の補佐が主な仕事ですが、技術的な交渉は自らすることもありました。日・米欧間の貿易摩擦を背景に厳しい交渉でしたが、百戦錬磨の各国交渉官の間の「仁義なき戦い」を体験でき、訓練になりました。出張先でさまざまな省庁の先輩・同僚と寝食を共にしながら働いたことが良い思い出で、今でもその方々と交流があります。省庁間の協力、それを可能にする信頼関係の大切さを学びました。

     その後、アジア局に移り、二つの課で計4年間、首席事務官と呼ばれる筆頭課長補佐の仕事をしました。戦後50年を迎える時期で、歴史認識をめぐるアジア諸国との関係や、いわゆる従軍慰安婦問題への対応についても担当しました。アジアや欧米の戦争当事者と話す機会もあり、中には日本人を前に興奮のためか鼻血を流して倒れる高齢者の方もいて、問題の深さ、戦争の悲惨さを繰り返し感じました。未来の悲劇を防ぐこと、そのために外交、防衛、経済など政策を組み合わせて自国の安全保障環境を整え、同時に世界の安定化を図る努力を営々と続けていく必要性を痛感しました。

     睡眠時間が短いことが不得手な私には、苦しいことも多い課長補佐時代でしたが、役所内外の多くの方々に行政官、社会人として鍛えられ、職業人生の基盤を築けたと感謝しています。

     やまざき・かずゆき 1960年東京都生まれ。私立桐蔭学園高、一橋大経卒。83年外務省入省。北米第1課長、首相秘書官、駐中国公使、総合外交政策局審議官、国家安全保障局内閣審議官を経て15年10月から現職。

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