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中学英語教員、TOEIC「合格」わずか 疑問も

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 京都府内の公立中学校(京都市を除く)の英語科教員を対象に、府教委は英語能力テスト「TOEIC」の受験を支援している。2016年度に約750万円の予算を組み、セミナーの受講費や受験料も負担した。一度で目標とする730点以上(英検準1級に相当)に達しなかった教員には2回目の「再試験」もあった。しかし、「合格」したのは対象者74人のうち16人。9日に結果を発表した府教委は「先生たちには本気になってもらいたい」と不満を漏らすが、専門家や現場からは懐疑的な声も上がっている。【宮川佐知子】

 次期学習指導要領で、中学での授業を英語で教えることを検討していること、国が英語科教員に英検準1級程度の英語力を確保するよう呼び掛けていることを踏まえた。府教委は16年度、英語教育の基盤強化中心事業として、TOEIC受験の支援を打ち出した。50歳未満で英検準1級程度に達していない英語科教員約150人を対象にし、16年度は74人が参加した。

 昨年6月のTOEICの試験では、4人が目標を達成。残る70人は、8~10月に民間業者による集中セミナーを3回受講するなどし、2回目のテストに臨んだ。最終的に計16人が目標を達成し、最高点は885点だった。しかし、58人は730点未満で、最低点は280点だった。58人には3回目の受験を課す。府教委学校教育課の立久井聡課長は「英語教員としての資質が問われかねない」と危機感をあらわにする。

 一方、英語教育学専門の杉本義美・京都外国語大教授は「点数が高いから良い先生とは必ずしも言えない」と指摘する。TOEICはリスニングと読解の力を知るには有効と評価しているが、会話力は測れない。「英語で授業を教えるには相当なスピーキングと指導力が必要で、授業研修に一層力を入れる必要がある」と説く。

 受験ムードに困惑している教員もいる。宇治市の中学校で英語を教える50代の男性は「現場には大きな負担」と説明する。男性は30代で英検準1級を取得。より良い授業をしたいと思う一方、英語指導以外の業務が多い。授業の準備に満足な時間が割けない教員も多いという。「英語力を上げるなら試験勉強ではなく、ネイティブスピーカーを囲み少人数で英語を学べるような機会を作ってほしい」と望んでいる。

 府教委は教員の英語指導力向上を目的に、教員の研修や英検準1級受験の全額を補助しているが、ネイテイブスピーカーによる勉強会は開いていない。

 TOEIC受験の支援事業は17年度も継続する予定で、新たに約70人が対象になる。立久井課長は「集中して勉強しないと点数は取れない。対象者がいる学校には、しっかり取り組める環境作りへの配慮をお願いしたい」と話している。

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