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ムサシトミヨ

希少魚調査、非公表 「激減、混乱招く」

絶滅の危機にあるムサシトミヨ=熊谷市提供
ムサシトミヨ推定生息数
ムサシトミヨが生息する元荒川最上流部=埼玉県熊谷市久下で2017年2月、三股智子撮影

 埼玉県と熊谷市が、昨年2月に公費で実施した希少魚「ムサシトミヨ」の生息数調査の結果を非公表としていることが、毎日新聞の取材で分かった。同様の調査は5回目だが、非公表は初めて。県と市は取材に「推定生息数が前回調査を大きく下回り、混乱を招く」と非公表理由を説明しているが、調査関係者は「数が大きく減っていることは事実とみられるのだから、隠蔽(いんぺい)するのではなく、現状を世の中に伝えて保護活動に生かすべきだ」と批判している。

 調査は1996年からほぼ5年おきに、熊谷市内の元荒川上流部の生息流域2キロで1~2月に実施。サンプル区間を選んですくい網で捕獲し、その数とすみかとなる水草の生育状況から生息数を推定する。「ムサシトミヨ保全推進協議会」を構成する県や市、市民団体「熊谷市ムサシトミヨをまもる会」などが調査を担い、従来は県と市が5月ごろに結果を公表してきた。

 推定生息数は、過去4回の調査で約1万6000~3万4000匹だった。調査関係者によると、今回は数十匹しか捕獲できず、推定生息数は2000匹程度にしかならない。

 複数の関係者は「何らかの原因で水草が減り、2014年に台風で下流のせきが壊れた影響からか、天敵のザリガニや、餌が同じ魚が増えたことが減少の主な原因と考えられる」と推測する。一方で、調査に参加したメンバーの一人は「前回まで調査に参加していたムサシトミヨの専門家が、今回は参加せず、調査熟練者が少なかった。一部のメンバーが騒がしくし、魚が逃げた可能性もある」と批判。さらに「網で水草を引き抜いてしまったのに、植え戻しもしなかった」と調査自体が生息環境を乱した可能性を指摘している。

 調査データを集計、分析する県みどり自然課と市環境政策課は、結果を「まもる会」など他の協議会構成員にも明らかにしていない。両課は取材に「調査手法に問題はなかった。(大幅減の)結果は一過性の可能性がある」と話している。

 両課は昨年12月、県の天然記念物である生息流域の一部の保護を担当する市教委に再調査の許可を求めたが、「2年連続で調査を行うと、水草などの河川環境の回復に影響を及ぼす恐れがある」として今年1月に不許可となった。【三股智子】

 【ことば】ムサシトミヨ

 トゲウオ科の淡水魚で体長4~5センチ。湧き水などきれいな冷水を好む。かつては埼玉県本庄市や東京都内などにも生息していたが、高度経済成長期に地下水がかれるなどして激減。現在は、埼玉県熊谷市の元荒川上流部の約2キロの範囲でしか生息が確認されていない。環境省のレッドリストは、ごく近い将来に野生で絶滅する危険性が極めて高い「絶滅危惧1A類」に分類。埼玉県は「県の魚」に指定している。

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