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<その167> 新聞は総合栄養食=城島徹

出前授業を受ける生徒=大森六中提供

 小中学校や大学を訪ねての出前授業で新聞の長所を話すようにしている。新聞離れという切羽詰まった事情もあるが、好物ばかり口にする偏食への警告と同様に、ニュースや情報も好き嫌いせず、紙の新聞で幅広い情報との「予期せぬ出合い」を体験してほしいからだ。

     数年前からたびたび出かける東京都大田区立大森第六中学校の要望はアフリカの学びを通した「平和」を考える授業だったが、本題に入る前に1年生4クラスの生徒全員に新聞を手渡し、政治、国際、スポーツなどのページをめくってもらった。「チョコやポテチとか自分の好きな食べ物ばかり口にしていたらダメ、野菜は嫌いだからと、いやがっていれば栄養のバランスが悪くなる……。そんなふうに皆さんは家で言われたことがありませんか?」。そう声をかけると、生徒たちは苦笑してうなずいた。

     そして続けた。「同じように、たとえばジャニーズ系タレント、スポーツなど自分の興味あるニュースばかりネット検索していたら知識のバランスも悪くなります。そういう意味で新聞は政治、経済、国際、社会、文化、暮らし、スポーツなど幅広いテーマのニュースに触れることができる、まさに現実社会に生きるための“総合栄養食”なのです」。そんなふうに説明したのだが、バレンタインデーの14日、生徒から授業の感想がどさっと届き、すべてに目を通すと、本題で話したアフリカの内戦や貧困、子供兵士などだけではなく、「総合栄養食」のくだりに触れた、以下のような感想が予想以上に多かった。

     《新聞は総合栄養食というところが心に残りました。僕の家は新聞をとっていません。なのでニュースなどはテレビやケータイなどで確認します。僕はスポーツが好きなので、かたよってしまっているなと思いました。これからは総合的にしっかりとニュースを見ていきたいと思います》(男子)▽《僕は自分が欲しい情報しかとっていなかったので、きっと今は栄養がかたよってしまっているけれど、これから朝新聞を読んで栄養のバランスを整えていきたいです》(同)▽《新聞を読むと、テレビでやっていないニュースやいろいろな視点からの意見を知ることができて、とても面白いと思うことができました》(女子)--。

     新聞をめくると、思わぬ記事が目に入り、世界が広がる。2020年度以降の小中学校の教育内容を定めた次期学習指導要領改定案でも新聞活用例が記された。物事を多角的にとらえる「生きる力」。それを育てる栄養が新聞にはいっぱい詰まっている。【城島徹】

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