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中塩美悠の青いバラ

会場の応援に誰しも救われる

パートナーを組んだ城代花佳さん(左)と長野・善光寺でパチリ=中塩美悠さん提供

 今回は、先月末に長野市であった国民体育大会について書こうと思います。

     この大会は私にとって今シーズン最後の試合でした。シーズンを気持ちよく締めくくるためにも、今まで得たものを全て出し切りたい!という強い思いがありました。試合直前の数日間は、練習中でもなんとかプログラムをまとめることができるようになり、いつもよりも落ち着いて、さらに少し自信を持って会場へ向かうことができました。

     今大会、林祐輔コーチは他の選手の海外試合に同行していたため、来られませんでした。サブコーチの淀粧也香(さやか)コーチが同行してくださると事前に聞いていたため、練習中からなるべく淀コーチにもプログラムやジャンプを積極的に見てもらえるよう心掛けていました。その間、私がどのようにしたらショートプログラムをミスなく演技することができるかを考えてくださり、冒頭の3T+3T(2連続3回転トーループ)と、次に跳ぶ3Lo(3回転ループ)を続けて3回、連続でミスなく行う練習を何度も何度も続けました。そしてもちろん、試合の公式練習でも確認しながら3セットを行い、普段の練習通り「ノーミス」の演技をすることができました。

    楽しめた試合 自己ベストを大きく更新

     話は変わりますが、私は試合ですぐ緊張してしまう小心者です。ですのでいつも、意図的に“試合を楽しめる”よう心掛けています。そんな私ですが、試合前、唯一心から楽しめる瞬間が、名前をコールされリンクの中央に立つまでのほんの数秒間です。名前を呼ばれ、両手を大きく上げると、リンクの全方向から私の名前が聞こえ、「頑張れー!」と応援してくれる。一人一人が別々に上げている声も、不思議と私には“大きなひとつの温(ぬく)もり”に感じます。そしてこの瞬間こそ、こんなにも味方がいるんだ!と実感できる時間なのです。

     インカレ(日本学生氷上競技選手権大会)や国体はリンクサイドに仲間が立ち、応援してくれます。国体の女子フリーは全カテゴリーの最後だったため、地元・広島県のみならず、多くの選手が応援してくれました。

     名前をコールされた後、淀コーチから言葉をもらい、淀コーチ、長光歌子先生、ペアを組んだ城代花佳(じょうだい・はなか)選手の順に目を合わせます。「行ってきます!」と頷(うなず)いて、リンクサイドにいた全選手とハイタッチをしてから出て行きました。

     「みゆちゃん頑張れー!」のかわいい声も、「なかしおガンバー!」の太い声も、何となく誰が言っているのか分かるもので、自然と緊張がほぐれました。ほんの数秒でしたが、最高の瞬間でした。全選手と触れた左手からは、仲間の存在をじかに感じることができ、演技中の4分間、ずっと大きな支えとなりました。

     フリーは本当に演技していて楽しかった。

     選手にとって応援はこんなにも大切なものなのです。私だけなのでしょうか? いや、きっと全選手、何かしら会場からの応援に救われた経験があるはずです。私は何度も救われました。神経が最も研ぎ澄まされている演技中は、たとえ小さな言葉でも意外と聞こえているものです。だから選手があきらめない限り、どうかその選手を応援し続けてください! その一言で演技全体が変わることがあるかもしれません。

       ■     ■

     ※中塩さんは国体成年女子で3位、国際スケート連盟非公認ながら自己ベストを大きく更新する総合171.37点を出しました。

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