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余録

「大阪の町の低い屋並に両御堂の屋根は…

 「大阪の町の低い屋並(やなみ)に両御堂(みどう)の屋根はくっきりとぬきんでていた……『有難(ありがた)い』『勿体(もったい)ない』という精神は、両御堂の教化によって船場(せんば)町人の土性骨(どしょうぼね)を培って来た」。大阪商人を研究した歴史学者の宮本又次(みやもとまたじ)は著書「船場」にこう書いている▲両御堂とは豊臣(とよとみ)時代からある浄土真宗本願寺(じょうどしんしゅうほんがんじ)派と真宗大谷(おおたに)派の別院のことだ。「北御堂」「南御堂」と呼ばれ、大阪のランドマークとして親しまれてきた。キタとミナミを結ぶメインストリート、御堂筋の名の由来でもある▲二つの御堂の前を通る狭い道が全長4キロ、幅44メートルの現在の御堂筋に拡張されて今年で80年となる。建物はかつて高さ約30メートルまでと制限されていたが、街の活性化を理由に規制が緩和され、100メートル以上の超高層ビルの建設も可能になった▲景観が変わりつつある中、南御堂の境内に2019年暮れ、17階建ての複合ビルが開業する予定だ。山門を兼ねて、低層階は本堂に通り抜けられる構造にする。教化活動や市民交流の拠点として多目的会議室を設ける▲今まではホールのある会館が建ち、法話のほか落語会やシンポジウムなどで市民が利用してきた。しかし、築50年を過ぎて耐震補強が必要と診断された。多額の費用を工面するのが難しく昨年初めに閉館したが、積水ハウスの子会社が土地を借りて建て替えることに決まった▲新設されるビルには350室規模のホテルも入る。外国人旅行者が年間2000万人を超え、今後も増えると見越したものだ。400年にわたり商都を育てた文化を訪日客に広く伝える場になるか。御堂筋の新たなランドマークへの期待が高まる。

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