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元名大生公判

責任能力、どう判断…最大の争点

 名古屋市で高齢女性を殺害し、仙台市で高校の同級生ら2人に劇物の硫酸タリウムを飲ませたなどとされる元名古屋大学生の女(21)=事件当時16~19歳=の裁判員裁判は、名古屋地裁で被告人質問が一通り終了した。20日から最大の争点である責任能力の審理に入るが、それを前に元学生の供述のポイントをまとめた。【山衛守剛、金寿英】

検察側「精神障害の影響は限定的」

弁護側「そう状態で抑止力働かず」

 検察側、弁護側とも元学生が人の死に強い関心を持ち、精神面で障害があったことは共通認識となっている。ただ検察側は事件に対する障害の影響は限定的で、完全な責任能力があったと主張する。

 弁護側は元学生には他者への共感性がなく興味の対象が極めて限られる精神発達上の障害があり、さらに双極性障害(そううつ病)を発症したため、そう状態の時は抑止力が全く働かなくなっていたとして、全事件で責任能力がなかったとして無罪を主張している。

 22、23日は精神鑑定をした医師3人の証人尋問が実施される。

女性殺害事件

 知人の森外茂子さん(当時77歳)殺害で、元学生は動機を「人が死ぬところが見たかった」と語った。森さんの様子を「実験結果として記録を残すため」写真に撮ったとした。

 自宅に招きやすく高齢で未来が少ないと考えて森さんを狙ったこと、事前に手おのなどを用意し、ティッシュを取るふりをして背後に回り殴ったと当時の状況を説明した。

 「(殺人は)少年のうちにやらなければと固定観念があった」と述べ、遺族感情は「考えたことがなかった」と語った。一方で「事件後にまずいことになったと思った」と振り返り、逮捕後に治療を始めてからは「人を殺す夢を見ると絶望感を覚える」と話した。

 検察側は供述から善悪の認識や計画性、強固な殺意があったなどとして、殺人が違法行為であると認識しながら意志を持って実行したと強調するとみられる。弁護側はそう状態の中で「純粋に人が死ぬ過程を観察したい」という衝動による思いつきの行動と主張する。治療効果を挙げて事件当時は障害の影響が大きかったことを主張する可能性もある。

タリウム事件

 元学生は中学時代の同級生女性への硫酸タリウム混入を「どうしても人にタリウムを投与したくなり、日曜で友人なら自然に呼び出せると思った」と説明した。高校の同級生男性は席が隣だったことなどから「タリウムを入れやすそうだと空想していた」と話した。

 被害者が飲んだ時や中毒症状が出たと知った時は「興奮した」「感動した」と述べた。一方で致死量に関する認識を口にし、タリウム混入について「自分がしたことは(警察に)捕まることと実感した」と振り返り、当時は混入がばれていないか気にしていた。

 事件の動機に関しては検察側、弁護側ともに「中毒症状の観察が目的」としている。検察側はタリウムを飲ませやすい相手を選んでいたことなどから計画性を指摘し、タリウム混入の危険性を認識していたとして、責任能力が認められると改めて主張する見通し。

 弁護側は抑止力が利かなくなっていて犯行もずさんと訴える。精神発達上の障害から中毒症状の観察に関心が集中し被害者が死ぬ可能性を考えられなかったと殺意も否定する。


元名大生の被告人質問での主な供述

高齢女性殺害事件(2014年12月)

・被害者に「殺すつもりなの」と聞かれて「はい」と答えた。「どうして」と言われ「人を殺してみたかった」と言った

・実験結果として記録を残すために4、5枚(被害者の)写真を撮った

・事件の数時間後に自分のやったことが法に触れることだと段々実感した

・遺族の気持ちはまだあまり理解できないけれど、反省につなげたい

・まだ人を殺したいとの考えが浮かんでくることもあるが治療を始めて(頻度は)少なくなった。人を殺さない自分になりたい

2件のタリウム事件(12年5、7月)

・タリウムは大切だが、人を傷つけない自分に変わる第一歩で所有権を放棄する

・反省がぴんとこない。もどかしい

<被害男性に関して>

・タリウムを飲んでくれたことに感動した

・人間にはタリウムの耐性ができるかもしれないと思い、2回投与に興味が湧いた

<被害女性に関して>

・どうしても人にタリウムを投与したくなった。日曜で友人なら自然に呼び出せる

・一つの症状が出ただけで興奮し感動した

放火未遂など事件(14年8、12月)

・焼死体を見たい気持ちが爆発的だった

・自宅から近すぎると犯行を疑われるし、遠すぎると土地勘がない

・放火に失敗したことに気付き、焼死体が見られなくて残念だと思った

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