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「王家の谷」豪雨で浸水の恐れ 京大防災研試算

100年に1回の豪雨で「王家の谷」が浸水する可能性のある範囲

 ナイル川中流域で局地的な豪雨が降ると、古代エジプトの歴代ファラオ(王)を祭る墓地群「王家の谷」の多くの遺跡が浸水する--。京都大防災研究所の研究グループがこんな試算をまとめた。既存の防水壁では防ぎ切れず、ツタンカーメン王の墓を含む多くの遺跡で、内部の壁画などが被害を受ける恐れがあるという。地球温暖化による異常気象で現地の雨量は増加傾向とされ、グループは防水壁のかさ上げなどの必要性を指摘している。

 研究グループによると、中東や北アフリカなどの乾燥地域では近年、集中豪雨の増加によって複数の枯れ川や谷に雨水が流れ込み、一つにまとまって鉄砲水のようになる現象「フラッシュフラッド」が問題となっている。王家の谷周辺で、こうした現象が起こる1日当たり30ミリ以上の雨は1941~70年の30年間には1回もなかったが、71~2010年の40年間では3回記録されている。1994年の豪雨では、王家の谷の七つの遺跡で壁画が崩れるなどの被害が出た。これを受け、遺跡の周辺には高さ0・75~1メートルの防水壁が設けられている。

 グループは、こうした対策も加味した上で、王家の谷にある49遺跡の浸水被害をシミュレーションした。94年の雨量などに基づき、100年に1回降るレベルの雨(1時間当たり30ミリ)が2時間降り続く想定で試算したところ、ツタンカーメン王やラムセス5世、6世の墓といった重要な遺跡を含めて29遺跡が浸水する結果となった。

 試算上は、防水壁を50センチ高くするなどの対策で重要な遺跡の浸水は防げるという。グループの角哲也教授(水工水理学)は「日本でも雨の降り方の変化が指摘され、河川の堤防の決壊も起きている。遺跡を守るために、いつ豪雨があってもおかしくないと思って備えるべきだ」と話す。【鳥井真平】

 【ことば】王家の谷

 エジプトの首都カイロの南約500キロに位置する岩山の谷にある岩窟墓群。60以上の墓が発見されている。ナイル川の対岸のルクソールとの一帯は「古代都市テーベとその墓地遺跡」として世界遺産に登録されている。ツタンカーメン王(紀元前14世紀)の墓は黄金のマスクの発見で知られ、昨年3月には新たに未知の2部屋が見つかった。

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