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北海道最北と最南……宗谷岬灯台 白神岬灯台

宗谷岬灯台

写真・文 岡克己

 灯台をこよなく愛する写真家、岡克己さんが、灯台のもっとも美しい瞬間を追い求め、物語をたどる「灯台ものがたり」。厳寒の北海道をめぐる第3弾は、離島を除く最北の宗谷岬灯台と最南の白神岬灯台を訪ねる。


宗谷岬灯台(そうやみさきとうだい)/北海道

【航路標識番号=0432 国際航路標識番号=M6896】

点灯してすぐの青い灯は幻想的、“灯台点灯開始劇場”独り占めです

 宗谷線に沿って走る名寄国道(40号)北上中、音威子府村役場の先で道路が二手に分かれる。今回は、右に進路を、天北峠越えの頓別国道(275号)で浜頓別に出て、オホーツクライン(国道238号)を一気に宗谷岬まで。

 左前に浜鬼志別灯台が見えてきた。あと30㌔弱、途中のコンビニで買ったシャキシャキレタスサンドをほおばりながら、アクセルを少しだけ踏み込んだ。冬の北海道、慎重に運転しなくては。

 根室の納沙布岬灯台(明治5年)、小樽郊外高島岬の日和山灯台(明治16年)に次いで、北海道で3番目に建てられた鉄造りの八角形灯台、1885(明治18)年9月25日に初点灯、当初はフランス製の第2等8面フレネルレンズを装備していたのですが、1911(明治44)年5月、大規模な山火の延焼で灯台焼失、レンズも損傷しました。

 当時の新聞記事に「逓信省は宗谷岬灯台、霧笛とも十七日焼失の旨、告示せり」とあります。防火施設がまだ整っていなかったこの時代の一番効果的な消火策は雨だったと伝え聞きます。余談ですが、この時に損傷したフレネルレンズ、無事だったレンズ半分を切り取って新しいレンズと組み合わせて能登半島の猿山岬灯台(石川県輪島市)に移設されていたのですが、2007(平成19)年3月25日の能登半島地震で2度目の損傷、現在レンズは、灯台近くの「道の駅」に展示されているという記事を読んだ記憶があります。3度目の復活? うーん、ないんだろうなあ。猿山岬灯台は2008(平成20)年に復旧したんだけど、小さなLB―M30型灯器に置き換えられ、灯質も群閃白光から単閃白光に、灯台ファンには寂しい限り、これも時代の流れですね。

 あっ、話を宗谷岬灯台に。焼失から1年後の1912(大正元)年10月に再建され、1954(昭和29)年6月に現在の四角形コンクリート造りに改築されました。

第3等フレネル式レンズ、群閃白光、毎30秒に4閃光

 15時30分、快晴、宗谷岬「日本最北端の地の碑」近くの無料駐車場に車を止めた。さすがに北海道有数の観光地、真冬なのにたくさんの観光客でにぎわっています。点灯時の撮影スポットの確認、灯台のある丘陵に登ってみる。日本最北端には今回が4度目、既にロケハンはできています。前回はひどかった、吹雪で灯台が見えない、見えないものは写らない、アタリマエだ。今回は待望の流氷接岸、自己完結できそうです。

 17時、無料駐車場にはボクの車だけ、もう誰もいない。オホーツクの寒風が頬を刺す。

 17時22分、第3等フレネルレンズが静かに回り始めた。青い灯が徐々に白い灯に、この“灯台点灯開始劇場”独り占めです。「自己完結は?」出来ましたとも。

 

【撮影機材】オリンパスOMD E-M1 ED12-40mmF2.8 40mm(35mm判換算80mm相当で撮影)1/1000sec F8 ISO200 WB5300K RAW

たそがれ時に宗谷岬から利尻富士を望む、息をのむ景色でした

●ぶらりガイド●

▽アクセス:JR宗谷線稚内駅下車 宗谷バス「天北宗谷岬線」60分、「宗谷岬」下車 徒歩10分

▽めし&みやげ:マダラの白子「タチ」は2~3月が旬。鍋はもちろん、ポン酢でも、みそ汁や天ぷら、卵とじでも。

▽おすすめポイント:北海道立宗谷ふれあい公園では2月いっぱい「スノーランド」を開催。スノーモービルや雪上車での雪原ツアーなど、この時期しか味わえまいアクティビティーがいっぱい。お子様には氷の滑り台、チューブスライダーも人気です。

稚内観光協会 http://www.welcome.wakkanai.hokkaido.jp/


白神岬灯台(しらかみみさきとうだい)/北海道

【航路標識番号=0001 国際航路標識番号=M6692】

白神岬灯台

 「渡り鳥のサンクチュアリ」と呼ばれる日本有数の渡り鳥の飛来地、対岸の津軽半島、竜飛埼まではわずか19.2㌔。下北半島の大間埼より南に位置する北海道最南端の岬である白神岬に、津軽海峡を航行する船舶の重要な航路標識として1888(明治21)年9月15日に鉄造六角形灯台で初点灯、1951(昭和26)年6月1日に現在のコンクリート造り灯台に改築されました。

 「灯台表」という海上保安庁発行の書誌があって、その中で沿岸灯台、防波堤灯台などを含む航路標識に4~7桁の番号を付与、これを航路標識番号といいます。そして最初の0001番が実は白神岬灯台なんです。ちなみに平成26年度版の「灯台表」では、最終の7300番が尖閣列島の魚釣島灯台です。あっ、そうだ、廃止などで欠番もたくさんあります。でも、どうして白神岬灯台が0001番なんだろ? 第1管区海上保安本部に尋ねてみました。

 

 <回答> 灯台表の航路標識の番号の付与は、当庁で発行しています「水路誌」に準じています。具体的には、書誌第104号北海道沿岸水路誌の巻頭に、「航路・沿岸・港湾記記載順序索引図」に記載の起点が「白神岬」からとなっており、これによっています。(原文のまま)

 

 函館から松前、江差方面に至る松前国道(228号)は、福島町役場を過ぎたあたりで海岸線に出る、しばらく走ると、いきなり右側の高台に見えてきます。

 道路脇に駐車スペースがあるのでいつも、といっても今回で3回目なんだけど、車を止めた。灯台の後ろは切り立った岩斜面。強風と雪に何度も足を取られながら、はうがごとくに。撮影ポイントまであと少し、頑張れ。

 

【撮影機材】オリンパスOMD E-M1 ED12-40mmF2.8 20mm(35mm判換算40mm相当で撮影)1/400sec F8 ISO200 WB5300K RAW

●ぶらりガイド●

▽アクセス:JR木古内駅下車 函館バス「松前」行き1時間10分、「灯台下」下車 徒歩5分/車なら……JR函館北斗駅から1時間半

▽めし&みやげ:天然岩のり「松前海苔(のり)」は年間1000~1500帖(1帖10枚)しか出回らないという貴重品。特に2月は「寒海苔」と呼ばれ、磯の香りもうまみも濃厚に。のり2段重ねの「海苔だんだん」は逸品です。ヤリイカも今が旬、刺し身でどうぞ。

▽おすすめポイント:桜の名所「松前公園」は、250種1万本の桜が4月下旬から5月下旬にかけて次々に開花。今年の「松前さくらまつり」は4月29日~5月14日の予定。道の駅「北前船 松前」は津軽海峡を眺めながら食事が楽しめ、おみやげも豊富です。

松前観光協会 http://www.asobube.com/


灯台ミニ事典「航路標識番号」

 灯台表(海上保安庁発行)の航路標識番号は、4~7桁の数字で示し、光達距離15マイル以上の航路標識には国際番号(英国の灯台表に掲載されている航路標識番号)も併記されています。

 記載の順序は、北海道南岸の白神岬灯台(0001番)から北海道を反時計回りで1周した後に、本州西岸山口県から日本海側を北上し津軽海峡から本州太平洋側に回り、四国太平洋側から瀬戸内海を一巡し、九州を反時計回りで1周して、南西諸島から沖縄に至っています。

宗谷岬灯台の灯籠(とうろう)の部分がまだ赤色だった時代、現在は白色、2002(平成14)年に塗り直されました

灯台ミニ事典「灯台の塗色」

 沿岸灯台は基本的には白なんだけど、冬季は雪国になる地域など地理的な条件等によって白では視認が困難な場合には、赤と白、黒と白の横縞(しま)模様に塗色されています。当然なんだけどその過半数は北海道にあります。

 数は少ないけど、背景との関係で横縞模様に塗色されている灯台もあります。

 宗谷岬灯台と白神岬灯台、いずれも赤と白の横縞模様灯台なのですが、塗色の塗り分けが、以前は灯器部分の上から赤白赤白の塗色だったのですが、現在は白赤白赤の塗色に変更されています。

 どうして変更されたんだろ? 聞いてみました。

 灯台の塗色については、日本では明治の頃から「灯塔に着色を施し、その形状と相まって一見して何(いず)れの灯台か識別しやすく、また背景と区別しやすい色を選ぶこと」とされてきました。

 1983(昭和58)年に、国際的なルールにのっとり「航路標識の塗色及び灯質の選定標準」が制定され、この基準をもとに塗色を決めることになりました。この基準において「灯台(防波堤灯台を除く)」については原則として「白」、「ただし背景又は地理的な条件などにより、白色では視認が困難である場合においては、白色と赤色又は白色と黒色をそれぞれ交互に帯状に塗色することができる」とされましたが、この基準では「交互に帯状」のルールしかありませんでした。

 その後、1986(昭和61)年に「航路標識の塗色の塗り分けについて」という基準が制定され、白地に赤帯及び黒帯を塗る場合、帯の幅は地上から構造物の頂部までの高さをほぼ奇数等分した値になるように塗色することになりました。

 宗谷岬灯台、白神岬灯台のほか、「航路標識の塗色の塗り分けについて」のルールに当てはまらない灯台について、改修の機会に合わせて塗色を塗り替えることとなりました。宗谷岬灯台については2002(平成14)年度、白神岬灯台については2008(平成20)年度に現在の塗色になりました。

 親切に教えていただきました、第1管区海上保安本部に感謝!

 日本国内の灯台は、横縞模様に限られているけど、外国には、縦縞、斜め縞模様に塗色された灯台もあります。

白神岬灯台の灯籠の部分がまだ赤色だった時代、現在は白色、2008(平成20)年に塗り直されました

岡克己プロフィル

 おか・かつみ。写真家、灯台研究家。写真家・中村昭夫氏に師事。月刊誌「おかあさんなぜ?」写真部などを経て、以後フリーランス。公益社団法人 日本写真家協会(JPS)会員。最新刊は「ニッポン灯台紀行」(世界文化社)。

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