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真っ暗闇でカラー撮影 産総研ベンチャーが普及へ

従来の赤外線暗視で撮影した画像(左)と、カラー暗視カメラによる画像=ナノルクス提供
ナノルクスが実用化したカラー暗視カメラ。カメラの上に赤外線の投光器取り付けられている=2017年2月15日、相良美成撮影

 茨城県つくば市のベンチャー企業「ナノルクス」(祖父江基史社長)が、真っ暗闇でも実際に近い色で再現してカラー動画を撮影できる技術を実用化した。2月下旬には高速道路に設置したカメラによる夜間撮影の実証実験がスタート。ストロボが無くてもカラー撮影ができることから、スマートフォンなどへの採用など身近な技術として広まることも期待される。

 暗闇での撮影はこれまで、モノクロか単色、あるいは特定の色を当てはめた疑似カラーでしか表現できなかった。今年秋にはフルハイビジョンのイメージセンサーを完成させ、2018年から量産化する予定で、防犯カメラや車載カメラ、医療・介護向け見守りカメラなど幅広い分野への普及を狙っている。

 「カラー暗視撮影」の技術は、国立研究開発法人「産業技術総合研究所」(産総研、つくば市)が開発し、実用化のために「ナノルクス」を設立した。開発を担当した産総研の永宗靖主任研究員が、同社の技術担当取締役を務めている。

 人間は「光の三原色」の赤、緑、青の3色を感じることで、色を識別している。可視光線の波長は約400~700ナノメートル(ナノは10億分の1を表す単位)で、例えば青なら約450ナノメートルと、色ごとに波長が決まっている。

 「カラー暗視撮影」は、赤外線を物体に当てた場合にも色ごとに反射される波長が異なることを発見し、それを応用することで実現した。近赤外線の波長約700~1100ナノメートルのうち、三原色それぞれについて反射率の範囲を特定。可視光線と近赤外線の波長の相関関係を明らかにして、実際に近い色を再現することに成功した。

 これまでも、暗い中でカラー撮影ができるものとしては超高感度カメラがあるが、これも光を利用したものなので完全な「暗闇」では撮影はできず、動画も苦手だ。一方、赤外線カラー暗視カメラなら、暗闇でも、速い動きをなめらかな動画として撮影できる。

 考えられる用途はさまざまだ。モノクロに比べてカラーは情報量が多く、物を識別しやすくなる。防犯カメラなら容疑者の姿や持ち物、車載カメラなら車線や標識の色を識別することで、人物の特定や交通安全に役立てることにつながる。人間が現場まで足を運んで確認しないと分からなかったようなトンネルの天井の劣化も、カメラで捉えられる可能性がある。病院の入院患者や介護が必要な人への夜間見守りも、眠りの妨げとなる光を使う必要がない。将来的には、開発が進む自動車の自動運転技術にも役立ちそうだ。

 量産化すれば、通常のカメラのイメージセンサーと同じ程度の価格で販売が可能という。祖父江社長は「カラー暗視カメラを使うことで、防犯や社会インフラ整備など、社会の安全・安心に貢献したい」と話している。【相良美成】

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