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ミルメーク

多くの人に愛され50周年 SNSで人気拡大

給食でおなじみの「ミルメーク」。粉末や液体などさまざまな形で提供されている=東京都千代田区の毎日新聞東京本社で2017年2月17日午後7時56分、大村健一撮影

 これほどまでに「懐かしい」と「何それ?」に反応が真っ二つに分かれる商品も珍しい。主に学校給食向けに販売している牛乳調味品「ミルメーク」が今年1月に50周年を迎えた。「コーヒー味」「いちご味」などの粉末や液を牛乳に混ぜることで、栄養を補助し、より牛乳をおいしく飲むために開発された。インターネット上のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)でも郷愁を誘う食材として人気だ。半世紀の歩みや秘話を製造元の大島食品工業(名古屋市守山区)に聞いた。【大村健一/デジタル報道センター】

今も圧倒的な人気はやはり…… 半世紀前の誕生秘話

ミルメークの50周年を記念して作られたロゴマーク=大島食品工業提供

 発売した1967年は、学校給食の飲み物が脱脂粉乳から牛乳に変わる過渡期だった。「牛乳の栄養価が広く知られている現在では想像しがたいかもしれませんが、脱脂粉乳の方がカルシウムやビタミンB2などの栄養価が高く、切り替えに当たって『足りなくなる栄養をおいしく補えないか?』と栃木県の学校給食会から打診されたことがきっかけでした」。ミルメーク誕生の理由をそう話すのは、大島食品工業の中根勇営業本部長(53)だ。

 大島食品工業は48年、医薬品を製造する「大島製薬所」として創業。59年には調剤で培ったノウハウを生かし食品分野に進出。学校給食向けに牛乳と混ぜるだけで手軽にプリンを作れる「もと」を製造した。現在もプリンやゼリーのもとは同社の主力商品だ。

大島食品工業の工場でミルメークの袋詰め作業をする社員。同社には約80人の社員がいる=名古屋市守山区の大島食品工業で2017年2月15日午後2時3分、大村健一撮影

 学校給食会からの要望があったのも、給食とのつながりが深かったからこそ。ミルメーク開発時、商品開発と営業の担当社員は、カルシウムなどをそのまま入れて飲んで試してみたが、まずくて飲めなかった。試行錯誤を繰り返していた時、偶然、子どもがコーヒー牛乳を買ってきたのをヒントに、インスタントコーヒーとカルシウムを混ぜた。後に社長となるその社員は、一口飲み、「これだ! この味だ」と思わず叫んだ--同社の社内資料はそう伝える。ミルメークは発売直後から売り上げ好調で数年で全国に広がり、昨年度は年間約3500万食を出荷した。

 定番商品だが、全国にいる営業担当社員が給食を作る栄養士からの要望を聞き、改良も加えてきた。厚生労働省による国民健康・栄養調査の結果などで子どもたちに鉄分不足の傾向が出ると、新たに加えるなどしてきた。また、びんから紙パックの牛乳が主流になってきた78年には、ストローを差し込むところから注入する液状のものも開発。粉末より溶けやすい顆粒(かりゅう)など、多彩なタイプを販売している。

 また「牛乳をおいしく飲んでほしい思いが根底にあるので、栄養だけでなく味もこだわってきた」と中根さん。鉄などの成分の臭いをたくみに隠すことを心がけつつ、コーヒー以外にも▽いちご▽ココア▽バナナ▽メロン▽キャラメル▽抹茶きなこ▽紅茶--の味を随時、発売してきた。それでもオーソドックスなコーヒー味の人気は根強く、売り上げ全体の約7~8割を占めているという。

インターネットで話題の「全国分布図」 その真実は?

 「え、東京にはなかったの?」「大阪にはあったよ」。ミルメークはSNS上でたびたび話題となる。給食で使ったことがある人と縁がなかった人の差の原因を、地域性や年代に求めて議論は尽きない。中には、SNS利用者に対して出身都道府県別に「ミルメークが給食に出ていたか?」をアンケート調査し、日本地図を塗りつぶした「分布図」もある。さて、実際はどうなっているのか。小中学校出荷数の都道府県別データを教えてもらった。

 実は最新データである14年の1年間は、47都道府県すべてに出荷している。全国的な広がりは、昔から大きな変化はないという。しかしSNSユーザーの間でミルメークに関する記憶の有無がはっきり分かれるのは、給食は都道府県ではなく、市区町村の教育委員会が中心となって献立作成委員会で決める形が主流だからだ。

 出荷数のうち2割弱を占めるのは会社所在地の愛知県。しかし、ほぼ県全域に納入しているにもかかわらず、「お膝元」の名古屋市には一度も出荷がない。「市教委が牛乳は白いまま味わって飲むという方針を持っていると聞きました」(中根さん)。2位・千葉県のシェアは県の約9割の地域に及ぶ。大阪府は3位だが、大阪と堺という2政令指定都市への出荷はなかった。

 4位の福岡県も福岡市は採用しているが、北九州市への出荷はない。ランキングは5位・福島県、6位・宮城県と東北2県が続き、7位は群馬県、8位は兵庫県。おおむね各地方からまんべんなく上位に入っており、人口との関連性も乏しい。東京都は21位で、足立区、板橋区など東部が多いようだ。

 「年々、出荷する地域は変化しているので、過去にさかのぼると、また違う結果になるでしょう」と話す中根さんも、SNS上での議論や分布図のことは知っていた。「私も名古屋出身なので、ミルメークの全国的な知名度を知ったのは入社してから。分布図は正確なものではないですが、こちらから議論をさえぎるのも少し違うと思っていました。多くの方々がミルメークに愛着を持ってくれているのが伝わってきて、ありがたかったです」とほほ笑んだ。

給食で安定した人気も意外な「敵」が 一般発売や「コラボレーション」にも活路

 昨年の給食への出荷数は約1200万食。景気に左右されにくく安定しているが、少子化とも直結するため、緩やかな減少傾向にある。また、給食は決められた費用の中で作られるので、急な天候不良などで野菜が高騰した際は、主菜や副菜を優先しがちになるため、ミルメークの頻度が減ることもある。同様に、消費税の増税も献立のコストカットの一因になる。

 そこで大島食品工業は93年から、給食向けだけでなくスーパーなどでミルメークの市販を始めた。現在はオンラインショップでも100円(税抜き)の5袋入りなど各種の商品を手軽に購入できるようになった。狙いは、かつて給食で親しんだ年齢層。懐かしく手に取る消費者は多く、市販用の出荷数は約2300万食と給食の約2倍にのぼる。近年はブランド力を生かし、他企業とのコラボレーションにも積極的だ。人気の高いコーヒー味やいちご味を、菓子メーカーと協同で、アイス、わらび餅、蒸しパン、せんべいなどに応用してきた。

 50周年に向けて、記念のロゴを作り、主に関係者に配布するノベルティーグッズの製作なども検討している。同社の大島雄治社長(57)は「いつ飲んでも、どこで飲んでも、いつまでも変わらないなつかしいミルメークと、新しい味で新しい笑顔になれるミルメーク。この二つをこれからも社員みんなで作り続けていきたい」と意気込んだ。

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