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わかやま子育て事情

/6 風疹予防ワクチンを 妊婦の感染で子供に障害 /和歌山

2016年に香川県であった日本外来小児科学会年次集会で啓発活動をした可児佳代さん=本人提供

 妊婦の風疹感染によって子供に障害が出る「先天性風疹症候群」(CRS)をなくそうと、日本産婦人科医会などが、今年から2月4日を「風疹の日」と定めた。患者やその家族でつくる「風疹をなくそうの会」も、CRSや風疹ワクチンについて情報発信などに取り組む。和歌山市出身で岐阜市在住の同会共同代表、可児佳代さん(63)に活動への思いを聞いた。

     風疹は発熱や全身の発疹を引き起こす感染症。咳やくしゃみによる飛沫(ひまつ)感染で広がり、春先に流行する。妊娠20週ごろまでの妊婦が感染すると、胎児に心臓の奇形や難聴、白内障などの障害が出るおそれがある。

     国立感染症研究所によると、大流行した2013年は全国の患者数が1万4344人に上り、6割以上が20~40代の男性だった。県健康推進課などによると、この年代の男性らは予防接種の機会がなかったり、接種が1回だけだったりして免疫のない人も多く、13年はこれらの人が感染することで流行が拡大したとみられる。

     可児さんは1982年、風疹にかかった。全身に赤い発疹が出た直後、妊娠を知った。生まれた長女妙子さんは心臓、視力、聴力に障害があった。先天性白内障などの手術を経てろう学校に通ったが、心臓病で18歳で亡くなった。風疹に感染したことについて、可児さんは「後悔の思いしかない」と語る。

     娘が生きた軌跡を形に残そうと、妙子さんが20歳を迎えるはずだった2002年、妙子さんの誕生の経緯や障害などを集めたホームページを開設。それを見たCRS当事者の親や医療関係者の間で「風疹感染で悲しむ人をなくしたい」と願う人の輪が広がり、13年に患者会が発足した。同会は、ワクチンの無料接種などを求め国に要望書を提出するなど啓発に努めてきた。妊婦や夫の接種費用を助成する自治体も増えたが、まだCRSの存在や予防の必要性が十分に認識されていない。

     予防接種には、麻疹ウイルスと風疹ウイルスを弱毒化して作った「MRワクチン」などが使われる。発熱や発疹などの副反応が出ることもあるが、可児さんは「妊婦や夫以外の人も風疹に関心を持ち、予防接種を受けてほしい」と訴えている。【成田有佳】


     ○…取材後記…○

    接種促進の難しさも

     風疹ワクチンの接種機会は、年齢や性別によって異なる。子供の頃に接種しても、1回だけだったため免疫を持たない人もいる。そういう人たちは人混みや職場、海外旅行先などで感染し、流行を拡大させるおそれがある。

     流行を防ぐには、ワクチンの接種率を高める必要がある。だが、「風疹は子供の病気」「妊婦がかからなければいい」という見方は根強く、ワクチンや副反応に対する考え方も人それぞれだ。接種促進はそう簡単ではない。

     可児さんは「『お母さん何やってるの。頑張れ』と妙子に言われる気がする」と話し、さらに啓発に力を入れるという。可児さんらの活動に今後も注目したい。

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