会津の伝統的工芸品の一つである「会津絵ろうそく」を皆さんに知っていただきたいという思いから、毎年2月に「会津絵ろうそくまつり」が開かれています。
会津の絵ろうそくは、漆の実から採れる木ろうから、ろうそくを作らせたことに始まり、江戸時代には参勤交代の際の献上品とされていました。また、花のない会津の冬には、仏壇に供える花の代わりに絵ろうそくを飾るようになったともいわれています。
御薬園(おやくえん)という会津藩主の庭園で始まったこのお祭りも、今では会津を代表する鶴ケ城や飯盛山、さらには会津若松市内各地でも行われる大きなお祭りとなりました。雪の降り積もった会津の夜は寒さと静けさで覆われていますが、ろうそくの明かりが訪れた皆さんを温かく迎えます。イルミネーションとはひと味ちがう、ろうそくの明かりをお楽しみください。
写真・文 山内久良
子どもたちの手作りあんどん。2人にとって、今の光景が宝物でありますように
鶴ケ城天守閣から見下ろした光景。明かりの群れが石垣を上がっていくようでした
中学生が銅版で作製した灯籠(とうろう)です。銅の赤が周りも赤く彩ります。スノークロスというフィルターを使い、趣を変えてみました
いまにも動き出しそうな瓦灯(かとう)の“群れ”。会津の伝統的民芸品、「起き上がり小法師」だったりします。よく見ると、笑顔が書いてあるんです
このエリアは、子ども会の皆さんが手入れしていました。「きれいなろうそくだね」「私が手入れしているのよ」そんな会話が聞こえそうです
武士の歩んだ道をろうそくの火が照らす、いにしえの光景
雪の花で満開のような桜並木。雪国ならではの光景です
ろうそくとたいまつ。お城には、いにしえの明かりが似合います
暖かいかな~ そんな言葉が聞こえてきそうな光景でした
あんどんに彩りを加え、おしゃれな演出。雪上ゆえに彩りが映えます
バレンタインデーに合わせたデザインでしょうか。御薬園の庭を竹灯が彩ります
心字の池を照らす雪中ろうそく。雪が生きているようでした
飯盛山の参道です。除雪の雪壁を生かした演出でした
東山温泉入り口の会津武家屋敷前に並ぶ灯籠。絵柄はもちろん會津の「會」
瓦灯と絵ろうそく。これが職人の手によるろうそくです。雪に覆われ、花のない会津の冬。それゆえ、ろうそくの絵には花が多いです
撮影者の横顔
山内久良さんは1964(昭和39)年12月、会津若松市生まれ。会津若松市役所市民課主幹。長年、会津絵ろうそくまつりや会津まつりなどの撮影を担当。厳冬の2月に行われる「絵ろうそくまつり」は、穏やかな空模様に恵まれることは少ない。「寒いなか訪れていただいた皆様が笑顔となるよう、人の手により作られたろうそくの灯火を人の手により守り続けています。このおもてなしの思いが伝われば幸いです」