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中国全人代 世界安定の責任自覚を

 中国の国会に当たる全国人民代表大会(全人代)が始まった。李克強(りこくきょう)首相は政府活動報告で、秋の中国共産党の第19回党大会やトランプ米大統領の誕生を意識し、内外情勢を安定させる重要性を強調した。

     世界第2位の経済大国である中国の安定は世界にとっても重要だが、中国の行動が世界の安定に影響を及ぼしていることも自覚すべきだ。

     「安定を保ちつつ、前進を求める」ことが今年の政府活動の基調だ。成長率目標は昨年を下回る6・5%前後。低成長が「新常態」となった現実を受け入れたものだ。

     一方で都市の新規就業者数目標は1100万人以上と昨年より100万人増やした。失業者増は社会の不安定化に直結する。安定を脅かすリスクを排除しようとする狙いだ。

     難易度は高い。安定を重視すれば、ゾンビ企業の解体など合理化につながる改革は進めづらくなる。改革をためらえば、新たな産業の育成などの雇用創出は困難だ。

     内需拡大が持続的な成長を実現するカギだ。そのためには農村の生活向上で都市との格差を縮小し、社会保障の充実で将来への不安を取り除くことが必要になる。

     李首相は脱グローバリズムや保護主義の傾向が強まり、世界経済の不安定性が増していると警告した。米国と並ぶ貿易大国である中国が自由貿易体制を擁護するのは当然だ。

     しかし、鉄鋼などの過剰生産は世界市場をゆがめている。国有企業を保護する規制も多い。トランプ政権に保護主義政策の口実を与えないためにも過剰生産能力の解消などの政策を着実に進める必要がある。

     安全保障では、中国の軍備拡張が東シナ海や南シナ海など地域の安定を崩している。国防費は約7%増となり、初めて1兆元(約16兆5000億円)を超えた。日本の防衛費の3倍を上回る。自国の安全を確保しようとしても軍拡競争になれば、安全には結びつかない。

     トランプ政権が国防費を増やす背景に中国の軍事的台頭があることを直視すべきだ。むしろ、北朝鮮の核、ミサイル開発を食い止め、朝鮮半島を安定化させることが安全につながるのではないか。

     内政の安定を強調すれば、政治的な引き締めにつながりやすい。人権など普遍的価値の軽視は世界との協調の障害だ。李首相が台湾の蔡英文(さいえいぶん)政権や26日に行政長官選が実施される香港に強い姿勢を示したことも懸念される。

     李首相は習近平(しゅうきんぺい)国家主席の突出した地位を示す「核心」の言葉を5度使った。党大会に向け、結束を示す狙いだろうが、内外に安心感をもたらすような政策が実現できなければ、真の求心力にはつながるまい。

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