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社説

北朝鮮 国家の卑劣さが際立つ

 北朝鮮が自国内にいるマレーシア国民の出国を禁止した。マレーシアに滞在している自国の外交官と国民の「安全が完全に保証される」までの措置だと説明している。

     金正男(キムジョンナム)氏殺害事件で警察が追っている高麗航空職員と北朝鮮大使館2等書記官を、捜査に応じないまま出国させる狙いのようだ。

     2人ともクアラルンプールの大使館内にいるとみられる。警察の厳しい監視で身動きの取れない状況を打破しようというのだろう。

     マレーシアのナジブ首相は「人質を取る行為」と強く非難し、自国内にいる北朝鮮国民の出国を禁じる対抗措置を取った。

     異国に閉じこめられた人々の不安は想像に難くない。本人の意思に反して出国を認めないことは、移動の自由を定めた国際人権規約違反である。犯罪の疑いがある場合などは例外だが、特定の国籍であることは理由となりえない。速やかに撤回されるべきだ。

     北朝鮮が出国を禁じたマレーシア人の中には国連職員もいる。北朝鮮は、国際社会全体に対する挑発と受け取られることを分かっているのだろうか。

     マレーシアは事件後に北朝鮮へ戻った容疑者4人の引き渡しも求めている。北朝鮮はこれにも応じないどころか、韓国の陰謀説を主張してマレーシア批判を強めるばかりだ。友好的だった両国の関係は急速に悪化しており、互いの大使を国外退去処分にした。

     事件への関与を否定する北朝鮮の猛反発は、むしろ国家犯罪ではないのかという疑念を強めている。

     一方で、マレーシアを強く圧迫すれば状況を好転させられるはずだという意識も感じられる。

     北朝鮮の身勝手な思い込みにすぎないものの、最近の北朝鮮の行動に共通する傾向でもある。経験の浅い金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が強気一辺倒で、独裁下で忠誠競争に走る官僚たちも強硬さを競っているのなら極めて危険だ。

     北朝鮮は6日の弾道ミサイル発射について、有事に在日米軍を攻撃する部隊の訓練だったと発表した。米国にミサイル能力を誇示する目的を明示したものだが、実際にはトランプ政権を強硬な政策に追いやるだけだろう。

     金正日(キムジョンイル)政権の時代には北朝鮮なりの計算をうかがわせる行動が少なくなかった。冷静さを欠いたようにしか見えない行動が目立つ現在との違いは大きい。

     韓国の外相は、国連加盟国としての資格停止や国際刑事裁判所(ICC)の活用を提唱した。北朝鮮の無法ぶりを考えれば、真剣に検討されるべきだろう。

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