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大阪高裁は無期懲役 死刑判決を破棄

君野康弘被告=会員制交流サイトより

被害者1人の殺人、裁判員裁判死刑判決が控訴審破棄は3例目

 神戸市長田区で2014年、小学1年の女児(当時6歳)が殺害された事件で、大阪高裁は10日、殺人やわいせつ目的誘拐などの罪に問われた無職、君野康弘被告(50)を求刑通り死刑とした裁判員裁判の1審・神戸地裁判決を破棄し、無期懲役の判決を言い渡した。樋口裕晃裁判長は「事件の計画性はなく、生命軽視の姿勢が甚だしく顕著とは言えない。死刑の判断は誤りだ」と判断した。

 被害者1人の殺人事件で、裁判員裁判の死刑判決が控訴審で破棄されるのは3例目。いずれも無期懲役を言い渡しており、高裁は裁判員裁判の厳罰化に歯止めをかける傾向にある。

 弁護側は事件に計画性はなかったとした上で、「遺族の処罰感情に過度な影響を受けた1審判決は量刑判断を誤った」と主張。被害者1人の事件に死刑を適用することの是非が最大の争点だった。

 判決は量刑の判断にあたり、女児に騒がれずにわいせつ行為をするため殺害したという被告の動機について検討。「性的欲望を満たすという目的は強く非難されるが、格段に身勝手とは言えない」と述べた。

 また、「君野被告が殺害を決意したのは、女児を自宅に呼び込んだ後だった」とした1審判決を容認。殺害の計画性はなかったと認定した。

 判決は過去の裁判例の傾向を踏まえると、「計画性がないことを重くみるべきだ。殺害の計画性がある事件に比べ、刑を軽減すべきだ」と指摘した。

 樋口裁判長は「遺族の厳しい処罰感情は十分に理解できる」と述べる一方、「事件は偶発的な側面が否定できず、生命軽視の姿勢が甚だしく顕著とまでは言えない」と強調。「死刑の選択がやむを得ないとはならない」と結論付けた。

 弁護側はわいせつ目的の誘拐ではないと反論していたが、判決は「事件前に幼女らのわいせつ動画を頻繁に閲覧した点などからも、わいせつ目的が推認できる」と退けた。

 最高裁は15年2月の決定で、死刑の適用には慎重さと公平性の検討が必要で、裁判員裁判でも過去の量刑判断とのバランスに配慮するよう求めている。

 一方、判決は裁判員裁判について「国民の社会常識を反映させた量刑判断は基本的に尊重する必要がある」と言及。しかし、「計画性など主要な量刑要素の判断を是正することは、裁判員裁判の趣旨を損なうものではない」と強調した。

 大阪高検の北川健太郎次席検事は「判決内容を精査し、適切に対応する」との談話を出した。【原田啓之】

神戸・小1女児殺害事件

 2014年9月23日、神戸市長田区の雑木林で、行方不明になっていた小学1年の女児の遺体が見つかった。近くに住む君野康弘被告が殺人、わいせつ目的誘拐、死体遺棄、死体損壊の罪で起訴された。1審・神戸地裁判決は、君野被告が長田区の路上で女児に「絵のモデルになってほしい」と声を掛け、わいせつ目的で自宅に誘拐。首をロープで絞めるなどして殺害し、傷付けた遺体を遺棄したと認定した。君野被告はわいせつ目的誘拐罪を除く起訴内容を認めている。

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