メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

<東日本大震災6年>被災42自治体首長アンケート 復興五輪「薄れた」5割

 東日本大震災から6年に合わせ、毎日新聞は大きな被害を受けた岩手県12、宮城県15、福島県15の計42市町村の首長にアンケートした(2月26日に初当選した佐藤金正・福島県川俣町長は一部回答)。2020年東京五輪・パラリンピックをめぐり、観光客増加や世界への発信を期待する一方で、「復興五輪」の理念が薄れているとの危惧が広がっている。今年度からの国の復興予算に地元負担が求められたことにも「厳しい」との声が相次いだ。【岩嶋悟】

    関連イベント誘致、期待も

     20年東京五輪・パラリンピックの開催準備が本格化する中、「震災復興」の理念が薄れていると感じるかを聞いたところ、21人(51・2%)が「薄れている」と回答した。県別では福島8、宮城6、岩手7。「薄れていない」は11人(26・8%)、「分からない」などは9人(22・0%)だった。

     「薄れている」理由として、「五輪と復興の関連性が分からない」(小田祐士・岩手県野田村長)など理念の具体的な中身が分からないとする声が目立った。松本幸英・福島県楢葉町長は「一時議論されたカヌー競技の被災地開催が見送られた」ことを挙げ、石原弘・岩手県田野畑村長は「地方の思いを発信する地方版復興五輪計画の策定を」と提言した。

     一方、「薄れていない」とした戸田公明・同県大船渡市長は「五輪をきっかけに多くの旅行者に東北を訪れてもらおうとする動きがある」と歓迎し、清水敏男・福島県いわき市長は「野球予選の一部開催や聖火リレールート採用を働きかけるなどの取り組みがなされている」と評価した。

     五輪と被災地の関わり方について、できるだけ多くの競技を行う▽事前合宿や関連イベントなどの誘致に力を入れる▽おおむね現状で良い▽五輪への関与を抑制--から選択してもらったところ、「事前合宿や関連イベント」が最多の22人。「現状」は8人、「多くの競技を」は4人だった。

    「風化感じる」95%

     震災の風化について「かなり感じる」「ある程度感じる」は39人(95・1%)を占めた。多くの首長が、震災報道やボランティアなどが減り、被災地外で人々の話題に上ることも少なくなっていると訴えた。

     伊沢史朗・福島県双葉町長は「国に要望活動に行っても風化を感じる」と指摘。阿部秀保・宮城県東松島市長は「全国で多くの災害が発生しているが、震災の教訓が生かせているかと自問自答するときがある」とした。

    復興工事に遅れ24%

     復興工事の進捗(しんちょく)状況について「遅れている」としたのは10人(24・4%)。遅れの理由では「自治体職員の不足」「業者や作業員の不足」が多かった。

     復興に向けた最大の障害、課題を選択式で聞くと、被災3県の異なる事情が浮かび上がった。「原発事故」を選んだ9人は全て福島県内の首長だった。「自治体の事務能力や人員の限界」も9人で、うち7人は宮城県。菊地健次郎・多賀城市長は「技術職員数の不足により、復興工事以外の通常業務に影響を与えている」と実情を訴えた。「復興工事の費用高騰、人手不足」は6人中4人が岩手県。戸田公明・大船渡市長は「技術者や作業員不足で工事の進捗に支障があった」としている。

     復興で遅れているもの(複数回答)で最も多かったのは「道路や鉄道」の14人で、宮城と岩手両県の首長が各6人。続く「農林業」の13人中10人は福島県で、福島第1原発事故による風評被害の影響が払拭(ふっしょく)できていない実情が浮かび上がった。「防潮堤」「商工業」が各12人、「水産業」「住まい」が各7人と続いた。

    地元負担「厳しい」の声

     国は今年度から5年間(復興・創生期間)の復興事業の枠組みを6・5兆円と決め、地元負担(3県で220億円)を求めた。この復興予算に対し、特に小規模な自治体の首長から「厳しい」との声が上がった。

     全体では「評価する」「ある程度評価する」が計29人と7割を占め、「あまり評価しない」は11人(26・8%)だった(その他1人)。ただ、「ある程度評価」とした首長からも「財政規模の小さい自治体にとって地元負担が重くのしかかる」(水上信宏・岩手県洋野町長)、「地元負担は残念。自由度のある復興交付金の拡充を」(伊達勝身・同県岩泉町長)との意見があった。

     「あまり評価しない」とした小田祐士・同県野田村長は「被災住民からの要望に応える単独事業で財政が厳しい」と訴えた。山田司郎・宮城県名取市長は「ようやく復興事業が本格化しようとする中、地元負担を求めることは復興の更なる遅れにつながる可能性がある」と危惧した。

     国への要望では、「独自性のある事業について柔軟な運用と財政支援を」(柾屋伸夫・岩手県普代村長)など市町村の裁量の範囲を広げるよう求める声が相次いだ。菅野典雄・福島県飯舘村長は「子供が戻れない地域を作ってしまった責任は重いことを認識し、市町村の裁量を尊重した長期的支援を」とし、須田善明・宮城県女川町長は「人も組織も入れ替わりながら今日を迎え、硬直化が見受けられる。組織的論理を超えて『被災地で何を実現していくのか』などの理念を共有していきたい」と訴えた。

    コメント

    Listeningの投稿について

    「Listening――あなたの声を聞きたい」は、記事をもとに読者の皆さんと議論を深める場所です。たくさんの自由で率直なご意見をお待ちしています。

    ※ 本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して毎日新聞社は一切の責任を負いません。また、投稿は利用規約に同意したものとみなします。

    「Listening――あなたの声を聞きたい」利用規約

    毎日新聞のアカウント

    話題の記事

    アクセスランキング

    毎時01分更新

    1. 世界の雑記帳 ジョージ英王子、9月から男女共学の学校に
    2. 那須雪崩 自画像抱え父悲痛 傷ない遺体「目覚ましそう」
    3. 森友問題 松井・大阪府知事「学園と首相は関係ある」
    4. 核兵器禁止条約 保有国や「傘」依存国 交渉会場外で抗議
    5. スペースワールド 閉園伝えるCMが話題 明るくアピール

    編集部のオススメ記事

    のマークについて

    毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです

    [PR]