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震災6年・首長に聞く

/16 松本幸英・楢葉町長 戻りたい環境整える /福島

松本幸英・楢葉町長

教育と農業に重点

 --この1年で復興において進んだ点は。

     昨年末に災害公営住宅の入居が始まるなど復興拠点のコンパクトタウンが少しずつ形になってきた。住宅の整備は順調で、東京電力の単身者向け社宅も今月中に全450戸が完成する。インフラ復旧は8~9割進んだ。ただ新たな町の姿をつくる復興は2~3割くらい。

     --残る課題は何ですか。

     インフラでは、農地の復旧だ。福島第1原発事故後の除染廃棄物の仮置き場になっていて、なかなか進まない。中間貯蔵施設への搬出や減容化で廃棄物を減らすよう環境省に要請しているが、スピード感がない。

     復興への取り組みでは昨夏、楢葉南小の校舎を利用した生涯学習拠点「まなび館」ができ、町民が頻繁に利用している。来年春にはコンパクトタウンに商業施設や交流館をオープンさせ、体育館とプールの建設も進める。

     --町は今年4月を町民帰還が本格化する目標時期としてきましたが、戻った人は現時点で11%です。

     町民の5割がアンケートで「戻りたい」と回答しており、この時期までに町を帰還できる状態にしたいと考えた。しかし町民への仮設や借り上げ住宅の供与が来年春まで1年延長され、業者の人手不足で民家の建て替えやリフォームが進んでいないことも影響している。それでも4月には、町内で小中学校が再開するので、町民の2~3割は戻るのではと期待している。

     --帰還を加速させるためにどう手を打ちますか。

     教育と基幹産業の農業に重点を置いた施策を進める。教育は、学力面を含め「避難先よりも環境がよさそうだ」と思われるよう、日本一を目指して取り組む。農業もコメ以外のいろいろな作物を取り入れ、もうかる姿を見せれば、意欲を持つ若い人もいるはずだ。今年は試験的にサツマイモを栽培してもらい、来年は営業ベースに乗せたい。

     --隣の富岡町でも4月に避難指示が一部解除されます。広域での取り組みをどう進めますか。

     隣がよくなれば楢葉もよくなり、楢葉がよくなれば隣もよいという相乗効果があるので、富岡の一日も早い復旧復興を願う。ただ広域連携や町村合併は議論をするのはいいが、まずは各自治体がそれぞれ復旧復興を成し遂げることが大事だ。もちろん帰還できない自治体の住民が楢葉で自宅を再建したいと言えば歓迎する。

     --東電の社宅建設などで増える新住民をどう受け入れますか。

     町民がサークル活動をしたり、イベントを開いたりと自発的な活動をしている。新住民もこうした活動への参加を通じて迎え入れられればいい。住民が考えて行動するのを、行政はバックアップしていきたい。

     --原発事故から6年。社会に訴えたいことは。

     風評被害を払拭(ふっしょく)し、原発事故も風化させないためには、楢葉の元気な姿をしっかり見せていくことが大事だ。県民ですら、楢葉に人は住めないと思っている。私自身が約2年前に戻った時には街灯がなく真っ暗だったが、今は夜も明るく、景色が変わってきた。太平洋を望む天神岬温泉の利用者も増えている。ぜひ見に来てほしい。【聞き手・乾達】=つづく


    楢葉町

     東京電力福島第1原発の20キロ圏内に位置し、2015年9月に避難指示が解除された。今月時点の住民登録者数は7235人。このうち町内に戻ったのは818人で、65歳以上が半数強を占める。町の新たな核として、町役場南側に整備中の復興拠点「コンパクトタウン」(笑ふるタウンならは)には、県立診療所と歯科医院が開業し、災害公営住宅123戸の引き渡しも6月に完了予定。一方、スーパーなどが入る商業施設の開業目標は来年春にずれ込んだ。町立小中学校は4月、いわき市の仮設校舎から町内へ戻る。通学希望者は現在より3割少ない約90人となっている。


     ■人物略歴

    まつもと・ゆきえい

     楢葉町出身。県立四倉高卒。会社員を経て、1997年に町議に初当選。2005年から議長も務めた。12年、町長に就任し現在2期目。56歳。

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