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社説

民泊法案 地域共生型の宿泊所に

 住宅やマンションに旅行者を有料で泊める「民泊」が、全国規模の解禁に大きく近づいた。年180泊を上限に民泊を認める住宅宿泊事業法案(民泊法案)が閣議決定された。

     これまで国家戦略特区以外で民泊を行うには、旅館業法に基づく許可が必要だった。だが実際には、許可を得ず違法な状態で民泊を提供する事業者が後を絶たなかった。厚生労働省の調査では、許可を得ている事業者が都市部では2%に過ぎないことが明らかになっている。

     民泊法案は、都道府県知事への届け出だけで民泊を行えるようにするものだ。合法な事業者が増え、外国人旅行者の急増により深刻化しているホテル不足の緩和につながることを、政府は期待しているようだ。

     ただ、懸念すべき点もある。

     一口に「民泊」といっても、目的や内容に大きな違いがあり、区別して対処すべきだが、法案は必ずしもそうなっていない。

     まず、家主自身も住みながら空き部屋を旅行者に提供するタイプや、過疎地の空き家を貸し、地域の活性化を目指すタイプがある。こうした小規模で顔の見える民泊は、文化の交流や若者の旅行を促す可能性があり、積極的に推進してほしい。

     法案は民泊の提供者に対し、外国人旅行者に設備の説明や騒音防止への協力を外国語で行うよう求めているが、顔の見える民泊にまで一律に義務付けるのはどうだろう。

     一方、マンションの部屋を大々的に確保して「民泊業」を営む事業者については、どこまで違反者を摘発できるかという不安がある。

     「年180泊」という上限を超えた営業を取り締まる有効な手立てはあるのか。放置すれば、住宅地での営業が認められていない、合法な旅館やホテルが競争上、不利になる。

     周辺住民とのトラブルも心配だ。家主不在型の民泊は、国土交通省に登録した管理業者が管理することになっている。

     外国人旅行者を多数乗せた送迎車が頻繁に路地をふさいだり、宿泊客のマナーが悪かったりすると、地域に、外国人全般を拒絶する感情が広がる恐れもあるだろう。

     宿泊数の上限は、地域の事情に照らし、自治体が条例で引き下げることもできる。マンションなど集合住宅の民泊が地元の苦情を招き、小規模な交流型の民泊まで制限されるようでは問題だ。

     法案は今後、国会で審議される。国内の消費が頭打ちとなる中、成長の起爆剤として外国人旅行者を増やすことばかりにとらわれた規制緩和であってはならない。

     利用者が外国人であれ日本人であれ、ふれあいや相互理解を促し、地域と共生する民泊を目指すべきだ。

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