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震災6年・首長に聞く

/17 伊沢史朗・双葉町長 町内の再生に着手 /福島

伊沢史朗・双葉町長

駅周辺を生活可能な場に

 --復興への歩みをどう評価しますか。

     避難指示区域の再編や賠償問題に取り組み、埼玉県加須市からいわき市への役場移転、町立学校の再開も実現できた。来年度末には町外拠点の中心となる同市勿来地区の災害公営住宅も完成する。町内はこれまで手つかずの状況だったが、昨年春に避難指示解除準備区域の面的除染が終わり、秋には帰還困難区域の双葉駅西側40ヘクタールでも除染が始まった。昨年12月に第2次復興まちづくり計画も策定し、復興の具現化に取り組める環境ができた。

     --町内の回復をどう進めますか。

     まず避難指示解除準備区域に「復興産業拠点」を整備して雇用の場を確保する。勿来からも高速道路で通える。福島第1原発に近く、廃炉や中間貯蔵施設関連の企業、東京電力復興本社も呼びたい。復興祈念公園やアーカイブ拠点施設も整備されるので、2020年の東京五輪までに一部供用を始め、国内外から視察を受け入れたい。

     --国が帰還困難区域に特定復興拠点を設け、解除を目指す方針を示しました。

     双葉駅周辺は毎時1マイクロシーベルト前後まで空間放射線量が下がり、人が戻って住むことができる可能性が十分にある。除染とインフラ整備を進め、行政、福祉・医療、商業施設、希望者が先行して戻れる災害公営住宅を備えたコンパクトな町をつくる。今後5年ほどで行政の準備事務所を置き、生活が可能になるのはまだその先になる。戻るかどうか自己判断してもらえる状況まで持っていきたい。

     --長引く避難生活をどう支えていきますか。

     町民は全国300以上の自治体にお世話になっている。町から月2回広報紙を発送し、タブレット端末で情報共有している。7割が端末を使用している。勿来地区の災害公営住宅は医療、福祉、商業施設や集会所、広場も備え、町民が集える類を見ない施設になる。

     --町内の再生に町民の反応は薄く、行政との間に温度差を感じます。

     丸6年町を離れて生活しており、自宅を建てるなどして避難先に根づいている。かといって、それは町に戻らないことを意味しない。避難先で生活しながらも、双葉に戻って活動したい人も少なくない。そうした「2地域居住」ができるよう、戻った時に生活できる場所をつくろうと提唱している。別荘感覚で年に100日でも戻り、知り合いと触れあってもらえれば。

     --町内にこだわらず、周辺自治体と連携して住める場所を確保した方がいいとの声も聞きます。

     避難自治体それぞれが帰還できる環境を整備できない中での町村合併はあり得ない。存続をかけて努力を続けないと、国の支援もなくなり、復興はストップする。特に双葉や大熊はそうだ。自助努力しても帰還が進まない時に、次のステップを考えることになる。

     --原発事故の発生から6年が過ぎました。

     風化が進み、原発被災地が忘れられていくのを感じている。ことあるごとに発信し、国にも粘り強く働きかける。現場を見てもらうのが、我々が話すよりもインパクトがある。福島により多くの人に来てもらいたい。

    【聞き手・乾達】=つづく


    双葉町

     東京電力福島第1原発5、6号機が立地している。原発事故で町面積の96%が帰還困難区域になり、残る4%の避難指示解除準備区域もほぼ全域が津波で浸水した。2013年6月に役場機能を避難先の埼玉県加須市からいわき市勿来地区に移転。勿来地区で翌年4月に町立の小中学校と幼稚園を再開し、来年度は「町外拠点」と位置づける災害公営住宅も完成する。住民登録は原発事故以降、約1000人減り6145人(1日現在)。事故後の転出者らも含め、県内に4079人、全国37都道府県に2878人が避難を続ける。町南東部では、県内の除染で出た汚染土を保管する中間貯蔵施設の建設が進む。


     ■人物略歴

    いざわ・しろう

     双葉町出身。麻布獣医科大獣医学部卒。獣医師を経て2003年から町議3期。13年の町長選で初当選し2期目。58歳。

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