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余録

その昔、自らの言葉や行いに…

 その昔、自らの言葉や行いにうそ偽りはないと誓った文書を「起(き)請(しょう)文(もん)」と呼んだ。さまざまな神仏の名を挙げて、誓いに反すればすべての罰(ばち)を受けると記した。罰も「身の八万四千の毛穴ごとに加えられる」というからおどろおどろしい▲「梵天(ぼんてん)、帝(たい)釈(しゃく)、四天王、総じて日本六十余州の大小神祇(じんぎ)、別して伊豆・箱根両(りょう)所権現(しょごんげん)、三島大明神、八幡大菩薩(だいぼさつ)、天満大自在天神」は鎌倉時代の御成敗式目(ごせいばいしきもく)の順守の誓紙に掲げられた神仏で、起請文のひな型になる。裁判での証拠、証言も起請文で信頼性を裏づけた▲時代が下ればさらに多くの神仏を列挙した起請文があるのは、つまり誓約が破られることが多かったのだろう。だから現代の国会での証人の宣誓が「良心に従って……」と簡素だからといって信頼性で劣るとは限らない。むろんうそをつけば偽証罪という罰も当たる▲それにしても驚いたのは当の人物の参考人招致すら拒んでいた与党が、一転その証人喚問に応じたことだった。参院予算委の視察団に「夫人を通じて安倍晋三(あべしんぞう)首相から100万円の寄付を受け取った」と語った森友学園の籠池泰典(かごいけやすのり)理事長の証人喚問が23日に行われる▲首相は籠池発言を強く否定し、与党は首相に対する侮辱だと喚問へかじを切った。火の粉が降りかかってきての方針転換のようだが、もとは国有地売却や学校の認可で公の施策がねじ曲げられたのではないかという疑惑である。国民に向けた真相の解明が求められる▲民間人の招致に反対した与党がおどろおどろしい起請文、いや偽証罪付きの宣誓をさせて行う喚問だ。ここは関係する役人たちの話も聞かねばおさまるまい。

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