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米で人気の日本人ブロガー本が逆上陸

東京都渋谷区の「キャメルバック」でコーヒーを飲む岩田リョウコさん=中嶋真希撮影

 アメリカで人気の日本人ブロガーがいる。シアトル在住で、コーヒーにまつわるトリビアをインフォグラフィックで表現したブログ「I love coffee」を運営する岩田リョウコさんだ。2012年にブログを開設すると、わずか2カ月でメディアに取り上げられ、月間150万ページビュー(PV)のサイトに成長した。15年に出版した本は、米アマゾンのランキングで1位を獲得。2月には同書を日本語に訳した「シアトル発 ちょっとブラックなコーヒーの教科書」(ガイドワークス・1598円)を出版した。子供のころ、お茶と間違えてコーヒーをご飯にかけて食べてしまった経験から「コーヒーは苦手だった」という岩田さんが、いまや世界でも有数の「コーヒー好き」になったきっかけとは?【中嶋真希】

 「うん、おいしい。もう一杯飲もうかな」

 東京・神山町の人気コーヒーショップ「キャメルバック」で一時帰国した岩田さんと待ち合わせた。濃厚なコーヒーと、焼きたてパンのサンドイッチが評判の店だ。奥渋谷と呼ばれるエリアで駅から歩いて10分近くかかるが、絶えず客が訪れる。岩田さんはカウンターでラテを飲みながら、サンドイッチをつまんだ。人気ブログの運営者として、アメリカでは「超」がつく有名人。ほかにもイギリスやオーストラリアなど、英語圏で広く読者がいる。

「キャメルバック」の店頭でコーヒーを飲む岩田リョウコさん=中嶋真希撮影

 「コーヒー好きに多い職業は?」「コーヒーをよく飲む州はどこ?」「コーヒー占い」……。コーヒーにまつわる話題をグラフィックにして掲載したところ、シェアしたくなる話題がうけた。「米大統領選でクリントン氏を支持した州と、コーヒーショップの多い州が同じ」という絵が話題になった。

元々はコーヒーが苦手だった

「キャメルバック」のラテとサンドイッチ=中嶋真希撮影

 元々はコーヒーが苦手だったという。「コーヒーを飲むようになったのは09年、仕事でシアトルに住むようになってから」と岩田さん。コロラド大学の修士課程で日本語教育を学んだ後、外務省で日本語教育の専門家として働くためにシアトルに移り住んだ。シアトルは、スターバックス発祥の地で、街にはコーヒーショップが建ち並ぶ。「毎日、仕事仲間に『コーヒーを飲みに行こう』と誘われる。飲めないのはかっこ悪いから、我慢して飲んでいた」。おいしさに目覚めたきっかけは、人気店「カフェ・ラドロ」のカフェ・ラテ。「こんなにおいしいラテがあるんだ」。ラテを飲むようになってから、ブラックコーヒーも飲めるようになり、気がつけば“中毒”になっていた。

 ブログを開設したのは、プログラミングの練習のためだった。岩田さんは、日本語教育にITを生かせないかと考え、仕事を辞めて学校に通い、プログラミングとイラストレーターの勉強を始めた。練習のためにサイトを作ろうと考え、テーマを練った。「ファッションやグルメは人によって好みが違うけど、コーヒーなら誰でも飲む」。広いアメリカで、西海岸のコーヒーショップを紹介しても東海岸の人は興味を持たないだろうと考え、誰でも楽しめるトリビアを当時流行していたインフォグラフィックで取り上げることにした。

 岩田さん自身も、コーヒーを飲むようになってから、産地やおいしい店よりも、雑学に関心を持っていた。「エスプレッソって何? カフェオレとラテの違いは? アメリカのアメリカーノはエスプレッソをお湯で薄めたものなのに、日本のアメリカンはドリップにお湯を入れるの? へえ、そうだったんだって、そこから始まった」。12年4月、ブログ「I love coffee」がスタートした。

「朝起きたらPVがすごいことに」

 開設から2カ月が過ぎた12年6月、「コーヒー好きの職業ランキング」がアメリカのウェブメディアに取り上げられた。朝起きると、アクセス数が急増していた。急いでアフィリエイトと広告をつけた。「これで食べていける」とプログラミングの学校もやめ、ブログに専念した。15年には「Coffee gives me superpowers」(コーヒーはすごい力をくれる)を出版し、アマゾンランキングで1位に。同書は韓国語、中国語、ロシア語に翻訳され、フォーブス誌やタイム誌でも取り上げられた。

“コーヒーとウンコの関係”も

 満を持して2月、同書の日本語訳「シアトル発 ちょっとブラックなコーヒーの教科書」が発売された。日本向けに新たに書き下ろしも追加し、「コーヒーとウンコ 5つの不思議な関係」など、「え?」と思わず読ませる内容も。「日本人は、コーヒーが好きな人が多い」と岩田さん。若い世代にはハンドドリップでいれたコーヒーを提供する「サードウエーブ」のおしゃれな店が流行しているが、かつては純喫茶の文化があった。「若い人だけでなく、おばあちゃんもコーヒーを飲む」と、日本にはすでにコーヒー文化が根付いていることを指摘し、「トリビアを知って飲むとさらに味わいが増すと思う。この本をコーヒー好きにプレゼントしてもらえたら」と話していた。

中嶋真希

2006年毎日新聞社入社。静岡支局、毎日小学生新聞などを経て15年10月からデジタルメディア局。東日本大震災の影響で統廃合した宮城県石巻市の小学校や、性的少数者、障害者の社会進出などについて取材を続けている。共著書に「震災以降 終わらない3・11-3年目の報告」(三一書房)がある。

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