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先輩からの手紙/204 元マラソン五輪代表・尾方剛さん/中

はしれなかったくるしさにくらべれば、はしくるしさなどらくなものだとおもいました

 北京ペキンオリンピック(五輪ごりん)の男子だんしマラソン代表だいひょう尾方剛おがたつよしさん(43)。高校時代こうこうじだい一度いちどてなかった渡辺康幸選手わたなべやすゆきせんしゅ箱根駅伝はこねえきでん名門早稲田大めいもんわせだだい進学しんがくしたのをうように、山梨学院大やまなしがくいんだい進学しんがくし、箱根駅伝はこねえきでん目指めざします。けがをけだし、箱根駅伝はこねえきでん優勝ゆうしょうテープを栄光えいこうをつかみます。しかし、っていたのは“神様かみさまあたえた試練しれん”でした。【西村隆にしむらたかし

    けがから栄光えいこうのゴールへ

     山梨学院大陸上部やまなしがくいんだいりくじょうぶ入部にゅうぶしたのに、右足みぎあし親指おやゆびほね神経しんけいにあたり激痛げきつうはしり、はしれない日々ひびつづきます。実家じっかからはなれてりょうらすのもはじめて。当時とうじ携帯電話けいたいでんわなどなく、家族かぞくとの連絡れんらくおもうようにとれません。ホームシックになりました。

     「自分じぶんはけがではしれない。もどかしい。げたい。はじめて陸上りくじょうをやめたいとおもいました。でもげたら……またつづけるしかないのではないか。おや相談そうだんすれば『やめていい』とこたえてくれるでしょう。そんなおや心配しんぱいをかけたくない」

     はしれるようになったのは大学だいがくねんの9がつ大阪おおさか治療院ちりょういんでやっといたみがれました。

     1994ねん1月(v)2ふつか、3みっか箱根駅伝はこねえきでん優勝候補筆頭ゆうしょうこうほひっとう渡辺康幸選手わたなべやすゆきせんしゅようする早稲田大学わせだだいがく前年ぜんねん早稲田優勝わせだゆうしょう山梨学院やまなしがくいんでした。チームは今年ことしこそとえていました。ひか選手登録せんしゅとうろく尾方おがたさんに、監督かんとく前夜ぜんやに「けるか」ときました。もちろん「けます」とこたえました。

     1では渡辺選手わたなべせんしゅ区間新記録くかんしんきろくします。しかし、2からは山梨学院やまなしがくいんがリード。2日目ふつかめ復路ふくろげる山梨学院やまなしがくいん早稲田わせだ展開てんかいです。アンカーの尾方選手おがたせんしゅ快走かいそう箱根駅伝はこねえきでんはじめて11時間じかんかべやぶ見事みごと総合優勝そうごうゆうしょうでした。

     「はしれなかったくるしさにくらべれば、はしくるしさなどらくなものだとおもいました。たのしんではしろうとおもいました。アンカーでたすきをけて、大手町おおてまちのゴールにんだときは、ただはしれてうれしいの一言ひとことでした」

     尾方選手おがたせんしゅのゴールシーンはかくスポーツかざりました。大学だいがくのある山梨県甲府市やまなしけんこうふしかえると、優勝ゆうしょうパレードがっていました。芸能人げいのうじんのようなあつかいでした。

    陸上りくじょう神様かみさまためされている」

     3がつには、渡辺選手わたなべせんしゅ全国ぜんこく選抜せんばつメンバーとポルトガルの合宿がっしゅく参加さんかしました。名前なまえれ、実力じつりょくもトップになったはずでした。しかし帰国きこくしてからからだがSOSを発信はっしんしだします。おおくなり、1ねんもたたないうちに、頭髪とうはつはもちろん眉毛まゆげもまつげもちてしまいました。大学病院だいがくびょういん診断しんだんはストレス。しかし自分じぶんでもストレスがどこからているのかかりませんでした。

     練習れんしゅう授業以外じゅぎょういがいそとなくなりました。帽子ぼうしをかぶったまま授業じゅぎょうてしかられたこともありました。

     「チヤホヤしていたひとしおくようにっていきました。ささえてくれるひととの境界線きょうかいせんえるようでした。陸上りくじょう神様かみさまためされている、これはあたえられた試練しれんなんだとかんがえるようになりました」

     大学だいがくでの陸上生活りくじょうせいかつわりをげます。すると不思議ふしぎなことに、からだはじめました。2年生ねんせい優勝ゆうしょうテープをり、有名ゆうめいになり、期待きたいされ、それにこたえようとする気持きもちが、おおきなストレスとなってからだをむしばんでいたのでした。

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