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「内地の歩き方 23のオキテ」 県外生活で失敗しないために /沖縄

自身の挫折経験を振り返り、本に込めた思いを語る吉戸三貴さん=那覇市天久の琉球新報社で

 新生活が始まる春は、期待と不安が入り交じる時期。進学や就職などで県外に出るウチナーンチュたちへ「お薦め」と話題の本がある。那覇市出身の吉戸三貴さんが1月に刊行した「内地の歩き方 沖縄から県外に行くあなたが知っておきたい23のオキテ」(ボーダーインク・1620円)だ。吉戸さんに、本を通じて伝えたい思いを聞いた。

     吉戸さんは東京の大学に進学し、都内で就職したもののうまくいかず1年で沖縄へ帰郷。パリ留学や美ら海水族館広報担当などを経て、転職を機に再び上京し、2011年に企業や個人のコミュニケーションを支援する会社を立ち上げた。

     旅行と違い、暮らしてみるとさまざまなカルチャーギャップにつまづくもの。本に登場するエピソードは、吉戸さんの体験を基にしている。憧れと希望を胸に乗り込んだ最初の東京生活は「こんなはずじゃなかった!」の連続だったという。「例えば服装でも季節感をつかめず、友人に『今日それ着ちゃうんだー』とか言われて落ち込む。日常生活のちょっとした違和感がストレスになっていった」

     体調を崩して沖縄へ戻った直後は「挫折感でいっぱいだった」という吉戸さん。転機は、県の奨学金制度を活用してのフランス留学だ。アパートの大家の脱税に気付いてトラブルになり、毎日契約交渉を繰り返すというまれな経験から「『自分は頑張っているのに』と思っていても駄目。相手に伝わって初めてコミュニケーションが成立すると気付いた」。

     知識に加え心の準備もできていた2度目の上京では、沖縄と東京の文化の違いも、それぞれの良さも冷静に見つめることができた。一方で、インターネットやSNSなどの普及で容易に情報を得られる時代になったにもかかわらず、かつての自分のように挫折する沖縄の子たちがいた。「自分が18歳の時に欲しかった本」を作ることで手助けになればと出版に至った。家探しのポイント、会話の距離感、時間を守るコツなどを端的に助言。読んだ人から人気がある「オキテ」は「内地の『律し合う文化』と沖縄の『許し合う文化』」を理解するというもので、吉戸さん自身「根本的にはそれに尽きる」と語る。

     ささいなことに煩わされ、新生活を楽しめないのはもったいない。「勉強や仕事など本当にやりたい“本丸”に集中するための助けになれたらうれしい」と吉戸さん。予習するだけでなく、実際に壁にぶつかった時の「復習用」に持って行くのもよさそうだ。(大城周子)


     よしど・みき 那覇市出身。沖縄尚学中高、慶応大卒。国立劇場おきなわの宣伝編集、沖縄美ら海水族館の広報担当、東京でのPRプランナーなどを経て2011年、企業や個人のコミュニケーションの課題解決を行う「株式会社スティル」を設立した。

    (琉球新報)

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