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社説

G20と国際協調 米国の専横が際立った

 世界経済を支えてきた国際協調体制を揺るがすものだ。

     主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が、これまで共同声明に明記していた「反保護主義」の文言を削除した。「米国第一」を唱えて、自国産業の保護を優先するトランプ米政権が主張を押し通した結果だ。

     反保護主義は、2008年のリーマン・ショック直後のG20首脳会議(サミット)が声明に盛り込んだ。

     世界経済が悪化すると、各国は自国産業を守るため、関税引き上げに走りがちになる。報復を招き、景気をさらに冷え込ませかねない。

     負の連鎖を防ぎ、世界経済の安定的な成長を図ろうと、その後もG20は「あらゆる形態の保護主義に対抗する」と声明でうたった。主要国が足並みをそろえ、保護主義に歯止めをかける役割を果たしてきた。

     だが、トランプ政権は米国の貿易赤字削減を掲げ、対米黒字国への高関税などを検討している。米国の要求を通しやすい2国間協議を進める方針も打ち出しており、従来の声明は妨げになると判断したようだ。

     今回のG20では、欧州勢などが米国に異論を唱えた。しかし、米国に押し切られて、声明は「経済に対する貿易の貢献を強化する」と反保護主義から大きく後退した。

     地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」の実施を促す文言も外された。協定に否定的なトランプ政権の意向が反映されたとみられる。自国の主張や利益を優先し、協調に背を向ける米国の専横が際立った。

     G20は国益の異なる主要国が政策協調を図り、世界経済を成長に導く枠組みだ。各国は、協調がより大きな国益に結びつくと判断してきた。その重要な柱が反保護主義だ。

     世界的な保護主義の機運は一段と高まる恐れがある。英国は来週、欧州連合(EU)に離脱を通告する。フランス大統領選では反EUを掲げる党首が世論調査で首位を争う。各国が保護主義阻止で結束する必要性は増している。

     G20の声明は、世界経済について「成長は望ましいペースより弱い」との懸念を示した。成長を阻害する保護主義に反対できないようなG20では存在意義が問われる。

     G20議長国のドイツは7月のサミットに向けて貿易分野の議論を継続する方針を示した。5月には主要7カ国(G7)サミットもある。先進国だけのG7は世界経済の成長により重い責任があるはずだ。

     欧州歴訪中の安倍晋三首相は独仏首脳と会談し、自由貿易の重要性を確認した。日欧の首脳はトランプ大統領に粘り強く働きかけ、翻意を促してほしい。

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