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社説

姫路・こども園 保育のずさんさに驚く

 幼い命を預かる自覚と責任があるのだろうか。兵庫県姫路市の私立認定こども園「わんずまざー保育園」が定員を大幅に超えて園児を受け入れ、劣悪な環境で保育をしていた実態が明らかになった。

     この保育園は、市に届けずに保護者と直接契約を結んだ22人を受け入れ、徴収した保育料は簿外にしてプールしていた。

     直接契約を含めて定員の約1・5倍に当たる70人前後の幼児を預かっていたが、給食は約40食しか用意せず、おかずがスプーン1杯しかない子供もいた。発育に必要な栄養を与えないのは保育園として許し難い。

     不正はこれだけではない。保育士に対しても遅刻すれば罰金1万円を取るなど不当な労働条件を課した。保育士の人数を水増しして姫路市から給付金を多く受け取っていた。

     こうした法令違反は約30項目に上るという。兵庫県が認定を取り消す方針を固めたのは当然である。取り消しとなれば、子ども・子育て支援新制度が始まった2015年4月以降、全国で初めてとなる。

     認可外保育施設だったこの保育園は15年3月に県の認定を受け、当初から定員を上回る園児を受け入れてきた疑いがある。昨年1月、「市を通さず受け入れている園児がいるのではないか」という情報があり、姫路市は園長を呼んで事情を聴いた。しかし否定され、提出書類からも不審な点を見つけられなかった。

     今年2月の姫路市による定期監査で、保育園は一部の園児を休ませて定員を順守しているように見せかけていた。

     深刻な保育園不足の中、幼い子供を預けたい親の思いにつけこんだ悪徳商法と言わざるを得ない。

     この保育園には国や県などから年間5000万円の給付金が運営費として支出されている。県が認定した施設でありながら不正を2年間見抜けなかった。行政の責任も問われる事態である。

     県と市は、認定の経緯、園の運営実態、監査のあり方などを徹底的に検証し、見直しや改善をすべきだ。転園する園児のケアにも取り組む必要がある。

     06年に創設された認定こども園は保育所と幼稚園の機能を併せ持ち、0~5歳児を対象に、親が働いていなくても預かることができる。待機児童解消を目指す子ども・子育て支援新制度の柱に位置づけられ、全国で約4000カ所に増えた。

     保育の受け皿が広がるのはよいことだ。しかし、待機児童の増加に対応しようと新増設を急ぐあまり保育の質を落とすことがないようチェック体制の充実が必要だ。各地の自治体も再点検してほしい。

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