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社説

道徳教科書 型に縛られない授業を

 正式に教科になり、2018年度から小学校の授業で使われる「特別の教科 道徳」の教科書24点の検定結果が公表された。

     偉人伝など従来の教材を「読む」道徳から、討論などを積極的に取り入れる「考え、議論する」道徳への転換を反映し、工夫が見られる。

     一方で、検定は「内容項目」の記述について細かくこだわった。計244件の意見が付いて部分的に修正され、全点パスした。

     内容項目は道徳の学習指導要領で示す基準で「正直、誠実」「親切、思いやり」「家族愛、家庭生活の充実」「伝統と文化の尊重、国や郷土を愛する態度」など22項目あり、さらにより具体的に表記したものを学年段階に応じて学ぶ。

     しゃくし定規に項目と記述を突き合わせると、首をかしげざるをえない修正も生まれる。

     たとえば、「伝統と文化」にからんでは、当初のストーリーの記述に登場する「パン屋」が、意見で伝統的な「和菓子屋」に改められた。

     「感謝」については記述に欠けていた高齢者を登場させるべく、消防団の「おじさん」を「おじいさん」に変更した。

     文部科学省は、内容項目はすべて学ぶべきものとしている。

     話の不自然さよりも、内容項目に応じた記述の不足を問題視することにならないだろうか。

     さらに、先生たちが内容項目の「消化」に追われ、じっくり子供たちと向き合う余裕をそがれないか。

     道徳の教科化は、絶えぬいじめ問題が契機だった。

     しかし、人の苦しみを思いやる、敬意を払う、差別しない、などの心持ちや態度、規範は一律に定めた細かな項目学習だけで体得しうるものではない。

     今回の全道徳教科書がいじめ問題を取り上げているが、地域、学校、教室によってそれぞれの実情があり、現場の先生たちの取り組みはさまざまだろう。

     教科書は「主たる教材」と位置付けられているが、その上に工夫の授業や指導を組み立ててこそ生きる。

     また、道徳を教科化することは検定教科書とともに「評価」を伴う。

     道徳は他の教科と違って個人の内面の動きにかかわるものであり、点数評価はなじまない。唯一の「正解」というものもない。

     先生による評価は、子供の成長した面や長所、改善を望むことなどを文章で記録し、他の子供たちとは比較しない「個人内評価」にする。もちろん、受験の資料にもしない。

     その見守る目には、細かく縛られぬ、学校教育現場の実情に応じる裁量が不可欠だ。

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