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社説

学術会議の「軍事」歯止め 声明は議論継続の出発点

 科学者の代表機関である「日本学術会議」が、軍事研究について新たな声明を決議した。

     戦後2回にわたって公表した戦争や軍事目的の研究を否定する声明を「継承する」とした上で、大学などに研究の適切性を審査する制度を設けるよう求めている。

     半世紀ぶりの新声明については「従来より後退した」との見方も、「規制強化」との受け止め方もある。声明に強制力があるわけでもない。

     ただ、昨年6月から11回を重ねた議論をたどれば、学術会議の大勢が軍事研究への関与に否定的であることは明らかだ。科学者は声明の精神をくみ、真摯(しんし)に対応してほしい。

     検討のきっかけは防衛省が2015年度に始めた研究公募制度だ。「防衛装備品への応用」を目的とし、防衛省が審査した上で研究費を配分する。来年度の予算は初年度の30倍以上の110億円に増額された。

     これとは別に、多くの科学者が米軍から研究資金の提供を受けていたこともわかった。

     戦後2回の声明の精神を繰り返し確認してこなかったために、なし崩しに学術と軍事の接近を許してしまったことの表れだろう。

     新声明は軍事研究の歯止めとして「学問の自由」を前面に出した。その観点から防衛省の制度について「政府による研究への介入が著しく、問題が多い」と指摘したのは妥当な判断だ。応募を考える科学者や、これを認める大学などには納得のいく説明が求められる。

     「自衛目的なら軍事研究も許される」という意見も根強い。しかし、軍事研究の中で自衛目的と攻撃目的を区別することはできず、民生利用と軍事利用の線引きも難しい。

     防衛研究そのものの是非とは別に、軍事研究への関与を懸念するなら入り口で一定の歯止めをかけざるを得ない。声明が「研究資金の出所」に慎重な判断を求めたのは当然だ。

     ただし、研究資金の出所でふるいにかければ事足りるわけではない。それぞれの研究機関、科学者一人一人が、学術と軍事が接近する現状を認識した上で、科学研究のあるべき姿を考えてほしい。科学者以外の人も同様だ。

     声明決定は議論の終わりではなく、議論継続の新たな出発点である。

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