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社説

働き方改革の実行計画 抜け道ふさぐ制度設計を

 政府の「働き方改革実行計画」がまとまった。

     非正規社員の待遇を改善するための同一労働同一賃金の実現、長時間残業の規制が柱だ。1990年代から企業活動を優先して労働規制を緩和してきた流れの大転換である。

     「非正規という言葉を一掃する」「かつてのモーレツ社員という考え方自体が否定される日本にする」などの力強い言葉が実行計画には並ぶ。安倍政権は成長戦略の一環として働き方改革に着手したが、結果的に労働者保護の方向性を打ち出したことは評価に値する。

     ただ、残業時間規制では甘さが目立つ。焦点だった繁忙期の上限は、過労死の労災認定基準(月100時間超)の範囲を超えないよう「月100時間未満」となった。2015年度に脳・心臓疾患で死亡して労災認定された96人のうち半数以上が月80~100時間の残業直後に亡くなっているのにである。

     「高度プロフェッショナル制度」を盛り込んだ労働基準法改正案の早期成立を求めることも明記された。この制度によって成果主義賃金が導入されると、対象の職種の人は結果的に残業代なしで長時間働かざるを得なくなるだろう。今回の残業時間規制と矛盾するのは明らかだ。

     最大の課題は実効性の確保である。残業時間規制に違反した企業には罰則を科すことになっているが、その内容は詳述されていない。もともと残業代には企業に対する「罰金」の意味合いがあったが、今では労働者に必要な生活給の一部に組み込まれているのが実情だ。

     また、派遣労働者の賃金水準を同業種の労働者と同等以上にすることを労使協定に盛り込むことも求めた。しかし、労組のない職場も多く、どうすれば各企業に順守させられるかは不透明だ。

     違反が疑われる会社への強制調査権を持った労働基準監督署の人員拡充など、チェック体制を強化しなければならないだろう。

     働き手不足を背景に、今春闘では営業時間や労働時間の短縮など、働き方の改善が労使交渉の重要項目となっている。

     政府はこうした流れをさらに確実にすべく、関連法改正では抜け道を許さない制度設計に努めるべきだ。

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