広島、愛媛両県の住民4人が四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の運転差し止めを求めた仮処分の申し立てで、広島地裁(吉岡茂之裁判長)は30日、住民側の訴えを退けた。原発の運転差し止めを巡っては、大阪高裁が28日、関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)の運転を差し止めた大津地裁の仮処分決定の保全抗告で関電側の主張を受け、運転再開を認める判断を下しており、広島地裁の判断が注目されていた。
広島地裁での主な争点は、耐震設計で想定した揺れの大きさ(基準地震動)や津波の高さの妥当性だった。四電側は、近くの中央構造線断層帯などが約480キロの距離にわたって連動した場合を想定し、基準地震動を650ガル(ガルは加速度の単位)とし、一部は1000ガルに耐えられると主張した。
住民側は国内最大級の断層帯を過小評価しているとし、「新規制基準の審査を通ったからといって安全性が保証されたとは到底言えない」と訴えていた。
伊方3号機は原子力規制委員会の安全審査に合格し、昨年8月に再稼働した。伊方3号機の運転差し止めの仮処分申し立ては大分、松山、山口の3地裁・支部でも行われている。【東久保逸夫】