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社説

赤字1兆円計上する東芝 多くの難題が待ち受ける

 東芝は、傘下の原子力会社ウェスチングハウスが米連邦破産法11条の適用を申請した結果、2017年3月期の連結決算の赤字が最大1兆100億円となると明らかにした。

     新たな損失が生じて赤字は従来予想の2倍以上になり、債務超過額も6200億円に膨らむ。穴埋めのため、稼ぎ頭である半導体事業を分社化し、株の半分以上を売却する計画だ。分離と株売却について、30日の臨時株主総会で承認を得たが、先にはいくつも難題が待っている。

     米連邦破産法11条は、裁判所の管理下で企業を再建する道筋を定めている。自動車大手ゼネラル・モーターズも活用し、再生を果たした。

     東芝にとっては、ウェスチングハウスを連結決算の対象からはずし、これ以上の損失計上を防ぐのに不可欠だった。ただし米国内の電力会社など債権者の承認が必要で、納得できる再建計画の提示が焦点だ。

     そのうえで東芝は、現在80%を超える株式保有比率を下げるため、株を外部に引き受けてもらう。韓国電力公社の名が浮上しているが、再建に踏み出した後でもウェスチングハウスの経営は不安があり、出資には慎重な構えで対応するだろう。

     さらに、東芝再生には半導体会社の株売却条件と相手がカギとなる。

     1次入札は締め切られ、海外の企業などが名乗りをあげた。5月中をめどに選定するが、債務超過を埋めて一定の自己資本を維持するには2兆円前後で売らなくてはならない。将来性のある事業とはいえ、巨費を投じられる企業は限られている。

     新たな不確定要素もある。政府が「安全保障に関わる技術流出の懸念がある」として、売却先選びに関して外為法による事前審査を検討している点である。

     半導体会社の中核事業であるフラッシュメモリーは、さまざまなデータの記録に利用され、軍事転用の懸念があるためだという。政府は、事前審査を通じて中止や見直しの勧告もでき、東芝がもくろむ額での売却ができなくなる可能性がある。

     こうした点を克服できても、「経営の2本柱」だった原子力と半導体を失った後、収益源を何に求めて、どうやって会社を存続させていくかという重い問題が残る。東芝再生の道のりは険しい。

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