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社説

高校生ら犠牲の雪崩事故 「絶対安全」はあり得ない

 毎年恒例の雪山での講習に油断はなかっただろうか。

     栃木県那須町のスキー場付近で、登山講習受講中の高校生ら8人が雪崩に巻き込まれ亡くなった事故だ。

     雪崩は27日の朝起きた。講習は県高校体育連盟の主催で、県内7高校から生徒55人が集まっていた。前日から雪崩注意報が発令されており、予定していた登山は取りやめた。

     だが、ラッセルと呼ばれる雪中歩行の訓練が行われた。そのさなか雪崩に襲われ、隊列の先頭にいた大田原高の生徒が被害の中心になった。

     なぜ、ラッセルを強行したのか。

     現場責任者だった教諭は記者会見で、引率していた登山経験の豊富な教諭2人と協議して決めたと説明し、「経験から絶対安全だと判断した」と述べた。

     自然を相手にした登山に絶対はないはずだ。判断の甘さが取り返しのつかない結果を招いた。

     現場のスキー場は、雪崩の危険性があるとして2月下旬から5日間封鎖されたが、教諭はこの情報を知らなかったという。把握しておくべき情報だったのではないか。

     雪崩発生から110番まで50分かかった。この間、旅館に待機していた教諭は現場との連絡に使用する無線機を約10分間、車に放置していた。そこで連絡を取れなかったことが救援の遅れにつながった可能性がある。万が一、雪崩に巻き込まれた場合、位置情報を知らせる電波発信機(ビーコン)も装備していなかった。危機管理への認識が乏しかった。

     当時、那須町は3月下旬としては例のない30センチの積雪を一晩で記録し、事故の時もふぶいていた。スキー場では近年、詳細な気象データを活用し、雪崩の危険性を判断する。教諭は記者会見で「経験則」という言葉を繰り返したが、科学的な根拠が欠けては説得力をもたない。

     ただし、当事者の教諭だけを責められない。講習は県教育委員会が推奨してきたが、長年の慣行で現場任せにし積極的に関わってきたとはいえない。県教委は検証委員会を設置する。徹底的な原因究明が必要だ。

     事故をきっかけに、高校の登山部などの合宿中止や行程変更の動きが相次いでいる。安全が何よりも優先されるという山岳スポーツの原点を確認しておきたい。

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