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サンショウの木を前に「芽が少しふくらんでいますね」と解説する松田美智子さん=和歌山県紀美野町の「宇城農園」で

 本州最南端の紀伊半島に位置する和歌山。温暖で土地の起伏に富み、かんきつ類や梅をはじめとする食の宝庫だ。料理研究家の松田美智子さんと訪ねた。

     --料理研究家・松田美智子さん

     ●サンショウ原産地

     「昔ながらの和の食材が絶えぬよう、大切に伝えていきたい」。松田さんが思いを寄せるのがサンショウだ。日本原産で、7割が和歌山県で収穫される。ミカン科に属し、中でも大粒で風味の強い「ぶどうサンショウ」は有田川周辺が原産地とされる。

     5月の収穫にはまだ遠いが紀美野町の宇城農園に向かった。山に囲まれ、2月でも緑が美しい濃淡を見せる。なだらかな斜面に立つサンショウの低木。寿命は15年前後で、接ぎ木をして収穫するまで5年を要する。サイクルが短く手もかかるが、「一度営みを止めると再生できません」と農園主の宇城哲志さん(42)は難しさを語る。

     最近は苗木の供給が止まっており、農家の高齢化も深刻だ。証券マンだった宇城さんは8年前、実家の農園に戻った。サンショウや取れたて野菜、果物で作るジェラートの店「キミノーカ」を一角にオープン。遠方からも客が訪れる人気店となった。

     松田さんがサンショウの力を見直したのは、石臼でひいた緑色の粉サンショウがきっかけだった。「鮮やかな色と香味。市販のウナギのかば焼きも、ひと振りでよみがえります」

     ●鼻に抜ける清涼感

    1880(明治13)年創業の「山本勝之助商店」で、10代の頃からサンショウをひく辻了さん(73)=和歌山県海南市で

     粉サンショウを作る「山本勝之助商店」(海南市)では職人歴50年のベテランが石臼に向かっていた。市販の粉サンショウの多くは、種と枝ごと機械でひき、熱も加わるため茶色がかった色になる。この店では、農家が収穫し、乾燥させたばかりの色鮮やかな実を買い付け、すぐに冷凍。出荷の際に種や枝を手で取り除き、その都度ひいている。

     ひきたてを口に含んだ。舌がピリピリしびれる辛さだが鼻に抜ける清涼感は紛れもなく、かんきつ系だ。「これが本来のサンショウ。ひき加減が均一でないからこそ、香味も引き立ちます」と松田さんの顔に笑みが広がった。

     紀州は、しょうゆのルーツという説がある。鎌倉時代、興国寺(由良町)の僧覚心が中国から金山寺みそを持ち帰った。ウリ、ナス、ショウガなどを混ぜて熟成させ、上澄みがしょうゆになったという。近くの湯浅町や御坊市で今も造られている。

     ●こうじと共に

     「堀河屋野村」(御坊市)は1688(元禄元)年ごろ創業。元は回船問屋だった。徳川家の紀州藩から江戸にミカンや木材を運び、帰りに大豆を積んで戻ってきた。やがて、江戸の顧客への土産用にしょうゆや金山寺みそを造るようになり、今に至る。18代目の野村圭佑さん(36)は、商社勤務を経て家業に就いた。こうじを育て、薪で火を入れ、木おけで仕込む。「こうじと共に生きています」。仕込みに追われる毎日だ。

     Uターンで家業を継ぐ若い世代の生産者が増えている。「大量生産ではなく無添加で質の良いものを作っている。そんな食材を食卓につなぐ手伝いができれば」という松田さんに、和歌山の食材で作るレシピを提案してもらった。金山寺みそは通常、そのままご飯や野菜に添えるが、調味料としても使える。粉サンショウは、マヨネーズやドレッシングに混ぜて洋風の料理にも。

     「厳しい時代ですが、素材に力があれば生き残ることができるはず。私たちが意識して買い支えたい」【三輪晴美】


    サンショウ風味のポテトサラダ

    豚肉とピーマンの金山寺みそ炒め

     《主な材料》(作りやすい量)

    ▽ジャガイモ 300グラム

    ▽粉砂糖   小さじ2

    ▽A(オリーブ油1/3カップ、塩小さじ1、ぶどうサンショウの粉小さじ1~1と1/2、酢大さじ2)

    ▽新タマネギ 1/2個

     《作り方》

    <1>ジャガイモを軟らかくなるまで塩ゆでし、熱いうちに皮をむいて粗く崩し、粉砂糖をふってなじませる。

    <2>混ぜ合わせたAと新タマネギの薄切りを加えて混ぜ、30分~1時間おく。仕上げにサンショウの粉を適宜ふる。

    豚肉とピーマンの金山寺みそ炒め

    サンショウ風味のポテトサラダ

     《主な材料》(2人分)

    ▽豚肩ロース肉 300グラム

    ▽A(しょうゆ大さじ1、酒大さじ2、コショウ少々)

    ▽B(ゴマ油大さじ1、ショウガのせん切り小さじ1)

    ▽長ネギ1/2本

    ▽C(金山寺みそ大さじ2、酒大さじ3)

    ▽ピーマン   2個

     《作り方》

    <1>豚肉は5ミリの厚さにして3センチ幅に切り、Aを合わせて10分おく。ネギは縦半分に切り、芯を除いて斜め5ミリ幅、ピーマンは縦半分に切って芯と種を除き、ワタをそいで縦に細切りにする。

    <2>中華鍋にBを合わせて中火で炒め、ショウガの香りが立ったら強火にして豚肉を加えて炒める。ネギを加え、合わせたCを絡めて炒め、ピーマンを加えてさっと混ぜる。

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