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社説

文科省の天下りあっせん 不正の構造解明まだ遠い

 文部科学省は、組織的な再就職(天下り)あっせん不正について最終調査報告書をまとめた。2010~16年に62件の違法行為が確認され、処分者は43人に上る。

     すでに退職者ながら、事務方トップの事務次官経験者3人は、不正への関与や看過など責任の重大さから「停職相当」とした。

     厳しく対応したという印象も受ける。しかし、このような省ぐるみの不正構造が生まれた詳しい経緯や指揮者については必ずしも判然としないなど、洗いざらい解き明かしたというにはまだ遠い。

     それに、これは文科省だけの問題かという疑念が一向にぬぐえない。

     08年、改正国家公務員法が施行され、現職公務員は他の職員らの再就職あっせんなどができなくなった。

     調査によると、この規制導入後、現職ではなくOBによる再就職あっせんの形なら違法ではないという「軽信」が生じ、広い人脈を持つ人事課OB嶋貫和男氏が介在するあっせんの仕組みができた。

     人事課を中心に現職側も積極的に関わる。嶋貫氏抜きで行われたあっせんも多い。

     また、残されていた「引き継ぎメモ」の存在や、再就職先の調整案が人事課長や事務次官に伝えられていた事例などから「省内意見調整」が行われていたと報告書はみる。まさに組織的関与である。

     「ルール違反」というだけの問題ではない。

     文科省の所管や専門性から、再就職先は教育関係になりがちだ。とりわけ大学関係は設置認可や助成にも関わるだけに、より細心の注意を要するが、今回の違法再就職あっせんでも大学がらみが少なくない。

     教育行政全般に不信の深手を負わせることを恐れるべきだ。

     松野博一・文科相は問題の背景に同省の組織風土である「身内意識」を挙げ、「身内意識が甘えの構造になった」と残念がった。

     硬直化した人事慣行の見直しやチェック体制などで意識と仕組みを改め、再発防止を図るが、容易ではない。まして最終報告で幕引きなどあってはならない。まだ十分に教訓を引き出したとはいえないのだ。

     その意味でも、近く出るという全省庁の調査報告を、注視したい。

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