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帰還1割未満 追い続ける復興

原発事故の避難指示区域 解除9市町村の帰還 避難指示11市町村の解除日程

増える作業員 共生を模索

 政府は1日、前日の福島県浪江町・飯舘村・川俣町に続き、富岡町でも東京電力福島第1原発事故に伴う避難指示を解除した。帰還困難区域を除き、今春までに解除するとの政府目標は達成されたが、当面の帰還者は1割に満たない。国や自治体は廃炉産業などを頼りに新住民を転入させ「まち残し」を図る一方、事故前からの住民には見知らぬ廃炉・除染作業員との共生に不安を感じる人も少なくない。作業員が帰還者の数を上回る町もあり、復興に向けた新旧住民の共生は一筋縄ではいかない。【土江洋範、関谷俊介、宮崎稔樹】

     「世界の研究者や廃炉企業の関係者など新しい住民を受け入れたい」。富岡町の宮本皓一町長は力説し、元の町民の帰還だけにこだわらないとした。

     国は、被災した沿岸部を廃炉研究やロボット開発などの集積で復興させる「イノベーション・コースト構想」を推進。自治体側も関連施設の誘致に躍起で、雇用創出による人口増を期待する。

     富岡町も、構想の拠点となる廃炉研究施設の誘致を要望。放射性物質を含んだ稲わらや焼却灰を町内で最終処分する国の計画を、2015年12月に受け入れるのと前後して建設が決まった。

     一方、富岡町に隣接する楢葉町。「ゴミ出しを指定日以外にしたり、分別しなかったりして、イノシシやカラスに荒らされる」と男性(79)は顔をしかめた。不満の先は、自宅近くにある宿舎に住む除染作業員らだ。

     同町は解除から1年半が過ぎ、廃炉や除染の作業員の流入が進む。帰還した町民は人口の11%にあたる818人(3月3日現在)にとどまるのに対し、作業員は約1500人。25カ所の民宿やプレハブ宿舎に滞在する。昨年8月には、除染作業員2人が自転車盗の容疑などで逮捕され、町は「帰還意欲が低下する」と環境省に抗議した。

     町は昨年、住民の不安解消に向け、作業員宿舎の建築主に計画書の提出を求め、何が建つのかを記した標識を予定地に立てるよう義務づける条例を施行。町民の求めに応じて、説明会を開くことも求めた。同様の条例は同町の南隣にある広野町でも施行されている。

     住民の帰還が富岡町より一足早く始まった楢葉町。担当者は「作業員も復興のためになくてはならない存在」と述べ、共生の方法を模索している。

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