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社説

沖縄知事の「撤回」方針 収拾の責任は政府にある

 沖縄県・米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設をめぐり、沖縄県と政府の対立が泥沼化している。

     翁長雄志(おながたけし)知事が、前知事による辺野古沿岸部の埋め立て承認を撤回する意向を表明した。

     翁長氏は2015年に埋め立て承認を取り消し、政府との間で訴訟になったが、最高裁が昨年末「取り消しは違法」とする県側敗訴の判決を下した経緯がある。

     埋め立て承認を無効化するには、前回の「取り消し」と今回の「撤回」の2通りの方法がある。取り消しが、承認前の手続きの瑕疵(かし)を問題にしたものだったのに対し、撤回は承認後の事情の変化が理由となる。

     県は撤回の理由として、3月末に期限切れを迎えた岩礁破砕許可の更新申請をせずに政府が工事を続ける問題や、埋め立て承認時の留意事項違反などを検討している。

     承認が撤回されれば、政府は執行停止の申し立てや、代執行手続きなどの対抗策をとる構えだ。県が指示に従わなければ、両者の対立は再び法廷に持ち込まれかねない。

     それだけにとどまらず、政府は、翁長氏個人に損害賠償を請求することまで検討している。

     最近の翁長氏は、最高裁での敗訴に加え、副知事が辞任するなど苦境にある。大きなカードを切る必要に迫られているように見える。

     実際に翁長氏が承認を撤回した場合、それが法的に正当なものかどうかは、主張をよく聞いて判断する必要がある。ただ、法的な問題以前に、ここまで沖縄県を追い込んだ政治的な責任が政府にはある。

     政府は、承認の問題はすでに最高裁で決着がついているとして、工事を続行する方針だ。けれども、そうして仮に代替施設ができたとしても、地元が反発したままでは、基地の安定的な運用にはつながらない。

     沖縄県民の疑問は、法律論や裁判では解決できない。

     安全保障のためという理由で、民意を無視してまで、なぜ移設が強行されるのか。地方自治法改正で、国と地方の上下関係はなくなったはずではないか。こうした疑問に政府は責任をもって答え、沖縄の理解を得るべきだ。そのうえで、新しい時代の国と地方の関係をいかに築いていけるかが問われている。

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