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ロシア地下鉄で爆発 政権を覆う不穏な空気

 ロシア第2の都市サンクトペテルブルクの地下鉄で爆発事件が起き、多くの死傷者が出た。捜査当局は自爆テロの可能性を指摘している。

     いかなる理由でも、社会を不安に陥れようとする卑劣なテロは厳しく非難されるべきだ。

     事件の詳しい背景は不明だが、欧米諸国と並んでロシアをテロ攻撃の標的に挙げてきたイスラム過激派組織の関与が疑われている。

     プーチン政権は過激派組織「イスラム国」(IS)打倒を宣言してシリアに軍事介入した。これに反発するISは、エジプト上空でロシア民間機が墜落した事件や、ロシア南部で先月起きた治安部隊の駐屯地襲撃などで犯行声明を出している。

     ロシアでは、かつて独立を求めたチェチェン武装勢力の一部が過激化し、モスクワなどでテロ事件を繰り返してきた歴史がある。プーチン政権は2014年のソチ冬季五輪を前に対策を強化し、以来ロシアでの大規模なテロは抑えられてきた。

     だがイスラム過激思想に感化されたロシア出身の若者は多く、テロの懸念は常にあった。

     このためプーチン大統領は、テロが相次ぐ欧米に連携を訴えていた。

     しかし、ウクライナ危機やシリア内戦をめぐる対立などから、協調は難航している。トランプ政権の誕生で期待された米露関係の改善も進んでいない。テロ対策でどう国際社会と連携を進めていくかは、ロシアの大きな課題だ。

     ロシアは来年3月に大統領選をひかえ、プーチン氏の再選出馬が確実視されている。懸念されるのは、圧倒的勝利を確実にしたい政権が、治安対策を口実に反体制派への締め付けを強めることだ。

     先月来、反体制派が政権の汚職と不正蓄財の疑惑を告発したことに呼応して、大規模な抗議デモが国内各地で相次いだ。

     参加者の大半がプーチン体制下で育ち、これまで沈黙してきた若い世代だっただけに、政権は困惑しているようだ。

     追い打ちをかけるように、プーチン大統領の出身地で、しかも大統領の滞在中に爆発事件が起きた。

     力と権威で国内を抑えてきたロシア政権を、不穏な空気が覆い始めたことが心配だ。

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